経団連は10月14日、「上場企業役員ジェンダー・バランスに関する経団連会員企業調査結果(2025年版)」を公表した。
政府は、(1)30年までに東京証券取引所のプライム市場上場企業の役員に占める女性の割合を30%以上とすることを目指し、25年までの成果目標として同19%とする(2)25年をめどにプライム市場上場企業のうち、女性の役員を1人以上選任するよう努める――としている。
この役員には、取締役、監査役、執行役に加えて、会社法上は任意の役職であるが各企業が女性登用目標の前提とした執行役員またはそれに準じる役職者も含む。
同調査は、プライム市場、スタンダード市場に上場(25年7月現在)している経団連会員企業全社を対象として、有価証券報告書等で調査可能な会社法上の役員(会社法上の取締役、監査役、執行役)の状況をまとめた。
これによれば、プライム市場全上場企業の役員に占める女性役員の割合は18.4%(昨年比2.3%ポイント増)。プライム市場に上場する経団連会員では19.0%(昨年比2.2%ポイント増)、経団連が展開する「2030年30%チャレンジ」に賛同する企業のうち、プライム市場に上場する146社では21.6%(昨年比1.3%ポイント増)に達した(図表1参照)。

プライム市場上場企業のうち、女性が登用されていない企業は、2.4%(昨年比1.8%ポイント減)だったが、経団連会員企業では1.1%(昨年比0.4%ポイント減)だった(図表2参照)。

同チャレンジに賛同するプライム市場上場146社では、全社が女性役員を1人以上選任しており、昨年来、登用なし0%を継続している。
プライム・スタンダード市場で女性役員比率30%を達成している経団連会員企業は94社となった。
同調査では、有価証券報告書上、日常使用している通称(主に生来の姓)とは別に戸籍上の姓を開示している女性役員はプライム・スタンダード市場全体で延べ502人、うち経団連会員企業で173人だった。現行の夫婦同氏制度のもとでのプライバシーに関わる課題が改めて示された。
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経団連では、引き続き、経営のダイバーシティを進化させるとともに、キャリアステージに応じた研修やメンター制度などを積極的に展開し、多様な社内人材の育成、タレントパイプラインの強化に努める。
法律上求められていない戸籍姓の開示をやめることも呼びかけつつ、通称を使わずに生来の姓を使い続けることのできる「選択的夫婦別姓」制度の早期実現を求めていく。
【ソーシャル・コミュニケーション本部】