
マグラー氏(中央)、髙島副会長(左)、稲垣副議長(右)
経団連の髙島誠副会長・ヨーロッパ地域委員長、稲垣精二審議員会副議長・消費者政策委員長は9月18日、東京・大手町の経団連会館で、欧州委員会のマイケル・マグラー欧州委員(民主主義、司法、法の支配、消費者保護担当)と懇談した。マグラー氏の発言概要は次のとおり。
国際情勢の不確実性が増すなか、7月の日EU定期首脳協議で両者の関係はさらに強化された。
保護主義的な措置が横行するなかでも、多国間主義の重要性について声を強め、貿易障壁を最小限にする必要がある。この点について日本とEUは課題と目標を共有している。日EU間の投資・貿易関係がもたらす多大な利益に大きな機会があると確信している。
EUは貿易相手国の多様化を進めており、最近ではメキシコと自由貿易協定(FTA)の現代化に向けた交渉を終え、メルコスール(南米南部共同市場)とも合意した。今はインド、南アフリカ、マレーシア、タイなどと交渉中である。
欧州委員会では、欧州の競争力向上に向け、これまでに六つのオムニバス法案(現行法令の簡素化を一括提案する法案)を提出しており、欧州議会や加盟国と協議している。最初の法案では企業持続可能性報告指令(CSRD)や企業持続可能性デューディリジェンス指令(CSDDD)の簡素化を提案した。
欧州単一市場の形成に向け、2026年には必要な法案を提出したい。27カ国でそれぞれのルールに対応するのは難しいので、障壁を取り除きたい。共通のルールが必要という意見は聞き続けてきた。27カ国の制度とは異なる、28番目の市場をつくりたい。その際に、迅速性やデジタル・オンリー等、どのような要件を備えるべきか、企業の声を聞きたい。
国際的なデータ流通を強化することも今回の訪日の目的の一つである。19年に個人情報保護の十分性を相互に認定したことにより、日EU間のデータ流通が円滑になっているが、企業の負担を軽減する方法を模索中である。
消費者保護も重要な課題である。デジタル・プラットフォームが盛んになるなかで、消費者を保護するという新しい課題に直面している。
自由で公正な貿易等の重要性を共有する日本との対話のドアは常に開かれている。経団連とまた意見交換したい。
【国際経済本部】