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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年11月20日 No.3706 米国の通商政策 懇談会を開催 -アメリカ委員会

パーヴェン氏

ショウ氏

オルスワンガー氏

経団連のアメリカ委員会(澤田純委員長、赤坂祐二委員長、森田隆之委員長)は10月21日、Akin法律事務所のスコット・パーヴェン パートナー、ケリー・アン・ショウ パートナー、サミュエル・オルスワンガー シニアポリシーアドバイザーを迎え、東京・大手町の経団連会館で懇談会を開催した。米国の通商政策について説明を聴くとともに懇談した。説明の概要は次のとおり。

■ 米国政治の不透明化と経済への影響

第2次トランプ政権の発足以降、議会の分断や政府閉鎖の長期化など、政治の不安定化が進んでいる。共和党と民主党、上下両院の対立が一層激しくなり、予算編成や政策決定の停滞が顕著となっている。

下院では共和党主導で予算を維持する「つなぎ法案」が可決されたものの、上院では否決され、膠着状態が続いている。今後、国際情勢の変化や自然災害などを契機に政治的妥協が成立し、政府閉鎖が解除される可能性もあるが、長期化すれば企業活動への影響は避けられない。

トランプ大統領の支持率は50%を超えないものの比較的安定しており、現政権は大統領令を多用して政策を迅速に推進している。

外交面では、イスラエル対応で一定の成果を上げた一方、ウクライナ問題を巡る対応はなお不透明であり、注視が必要である。

■ 通商政策の転換

トランプ政権の主要課題の一つである通商政策では、「消費中心型」から「生産基盤型」経済への転換が進められている。各国に相互関税を課すことで国内生産を促進し、輸入抑制を図る方針である。鉄鋼、アルミ、自動車、半導体、医薬品などの戦略物資に高関税を課し、供給網の国内回帰を目指している。

制裁措置に代えて関税を外交ツールとして活用し、他国の政策変更を促す点も特徴である。特に中国との経済関係では、重要鉱物や半導体などの戦略分野を中心に規制が強化され、国際的なサプライチェーンの再編が加速している。

2026年に見直しを迎える米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)でも、米国主導の再交渉による北米域内の生産活動への影響が注目されている。これらの動きは米国内産業の再建を目的とする一方、企業にとっては貿易コスト上昇や不確実性拡大というリスク要因にもなっている。

■ 日米協力の新たな可能性

今般、日米間で5500億ドルの対米投資を含む日米合意がなされた。

日米間の関係強化に向けた新たな取り組みとして、AI、量子技術、医薬品、半導体などの分野を対象に、企業の新規投資や技術連携を促進する枠組みの検討が進んでいる。

不確実性が高まるなかでも、日米協力の深化は企業に大きな機会をもたらす可能性がある。ぜひこの機会を生かしてほしい。

【国際経済本部】

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