経団連は12月5日、東京・大手町の経団連会館で南アジア地域委員会企画部会(佐藤一郎部会長)を開催した。外務省アジア大洋州局の室谷政克南西アジア課長、経済産業省通商政策局の島野敏行南西アジア室長から、2025年8月の日印首脳会談の成果および日印間の経済安全保障や人材交流の取り組み等について、それぞれ説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。
■ 今後10年間の日印協力の方向性(室谷氏)
14億人を超える世界一の人口を抱え、高い経済成長を続けるインドは、市場の潜在力に加え、グローバルサウスの中核国として国際社会での存在感を高めている。
日本は、インドの活力を日本経済の成長に取り込みつつ、インドと相互補完的な関係を構築することで、両国のつながりを強固なものとしていくことが対印外交の観点からも重要である。
そうすることで、基本的価値を共有する国同士として、法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋(FOIP)の実現に向け、共に国際秩序の形成に取り組んでいくことが可能となる。
そうしたなか、25年8月、インドのナレンドラ・モディ首相が7年ぶりの日印年次相互訪問として来日した。日印首脳会談では、今後10年間の日印協力の方向性が確認され、(1)経済安全保障(2)経済・投資・イノベーション(3)人的交流――の3分野において協力を深化させていくことで一致した。
特に24年11月の第1回日印経済安全保障対話で、重要物資のサプライチェーン安定化を含むエコシステム構築で一致したことを踏まえ、「日印経済安全保障協力イニシアティブ」を立ち上げた。
同イニシアティブでは、(1)半導体(2)重要鉱物(3)情報通信(4)クリーンエネルギー(5)科学協力(6)医薬品――の6分野を重点分野とし、具体的な協力を進めていく方針を確認した。
25年10月の高市政権発足後も、モディ首相来日時に確認された日印協力の方向性が引き継がれており、とりわけ、半導体やAI等、日印双方の強みを生かせる重要新興分野におけるイノベーション創出と経済成長の実現に重点が置かれている。
■ 拡大する日印民間協力と人材交流(島野氏)
モディ首相来日時に開催した日印経済フォーラムで公表した日印間の民間MOU(覚書)に記載された案件は、直近2年間で170件に上り、投資金額は約2兆円規模に達する。従来は鉄鋼、金属、自動車等の製造業が中心だったが、近年はエネルギー、半導体、航空宇宙、人材、スタートアップなど、協力分野の裾野が広がっている。
経済安全保障分野は、産業界の声を両国政府の政策や施策等に反映させるべく、経団連とインド工業連盟(CII)による民間版の日印経済安全保障対話の発足が期待される。日印が連携し、インドでの日本企業のビジネス環境を戦略的に整備していくことが重要だ。
人材分野では、24年度に実施した日印人材交流・育成に関するアンケート結果から、多くの企業が高度人材としてインド人を管理職や経営層へ登用している実態が明らかになった。25年8月の日印首脳会談では、インドから日本への専門人材5万人を含む「5年間で50万人」の双方向の人材交流を目標に掲げた。
経産省は、インド進出日系企業数の増加に向けてインドの様子を理解してもらうべく、ミッション団の現地派遣、インド人材との接点を強化するジョブフェアの開催、インド人材の育成のための研修事業へ補助金の拠出――を行っている。
中小企業フォーラムの開催や中堅・中小企業ミッション派遣を通じ、人材交流の促進や投資・ビジネス活動の強化に向けて、インドの理解促進につながる取り組みも実施している。
【国際協力本部】
