本田氏
若田部氏
永濱氏
会田氏
経団連と経団連総合政策研究所(筒井義信会長)は12月17日、東京・大手町の経団連会館でシンポジウム「高市総理が描く強い経済への道筋 『国力研究~日本列島を強く豊かに』」を開催した。
前半は、京都大学大学院の本田悦朗客員教授、早稲田大学政治経済学術院の若田部昌澄教授がそれぞれ講演した。後半は、両氏、第一生命経済研究所の永濱利廣首席エコノミスト、クレディ・アグリコル証券の会田卓司チーフエコノミストの4人でパネル討議を行った。概要は次のとおり。
■ サナエノミクスとは
冒頭、本田氏は「高市早苗内閣総理大臣は、アベノミクスを承継し、発展的に次の段階に進んでいくと明言している。アベノミクスはデフレ不況からの脱却にかなり特化した政策であったが、サナエノミクスは成長力・生産力も強い経済を目指している」と説明した。
若田部氏は、高圧経済の重要性を強調。「財政、金融政策でマクロ経済を持続的に温め続け、需要超過状態を維持する。結果として雇用と投資が拡大する、つまり需要が供給を喚起することになる」と説明した。
永濱氏は、大きな環境変化として経済安全保障の重要性の高まりを指摘。「従来の新自由主義的な経済・産業政策では、権威主義的な国家に太刀打ちできない」と述べた。
会田氏は、企業と政府の貯蓄投資バランスの合計である「ネットの資金需要」を中心に論じた。「ネットの資金需要を拡大することで、家計にしっかり所得を回すことが重要」と指摘した。
■ 財政のあり方
財政を巡って、永濱氏は「サナエノミクスと同じく、岸田政権が取り組んだモダン・サプライサイド・エコノミクスも、政府投資を含めて供給力の強化を目指したものだった。ただ、十分な政府投資を行うには、財政規律を柔軟化する必要があった」と説明した。
財政健全化目標について、本田氏は「単年度のプライマリーバランス黒字化目標は、目標年限に近づくと緊縮財政に向かわせやすいという問題があった」と指摘した。若田部氏も「プライマリーバランスは歴史的産物であり、格付け機関も見ておらず、目標として掲げ続ける合意性はない」と述べた。
会田氏は「ネットの資金需要をGDP比マイナス5%とするのが、名目3%程度の持続的・安定的成長と整合的。英国のトラスショックは、ネットの資金需要がマイナス10%を超えるところで、さらに財政拡張を図ったために生じた」と説明した。
永濱氏は「高市政権発足以降の長期金利の上昇幅は0.2ポイント程度で、トラスショックは1.5ポイント程度と全く状況が異なる」と指摘したほか、若田部氏も「クレジットデフォルトスワップ(CDS)が多少上昇したといっても、過去と比べればかなり低い水準」と述べた。
【経済政策本部】
