稲垣副議長
経団連は12月10日、会員企業各社の女性役員のさらなる活躍を応援する「経団連女性エグゼクティブ・ネットワーク」の活動の一環として、稲垣精二審議員会副議長(第一生命ホールディングス会長)をメンターに迎え、東京・大手町の経団連会館で「第34回リーダーシップ・メンター・プログラム」を開催した。91人の女性役員が出席し、講演を聴くとともに意見交換を行った。概要は次のとおり。
■ リーダーシップは「旅」
リーダーシップは肩書や役職に付随するものではなく、課題に向き合い、行動を重ねるなかで育まれる「旅」だ。組織の論理にとらわれず、自立した個人として自分を自分として生きること、自分の時間、自分の今いるポジションを使って顧客や社会に目を向け、この組織を通じて何ができるかを考える姿勢が求められる。
一方で、「早く行きたいなら一人で行け、遠くへ行きたいなら皆で行け」という言葉のとおり、一緒に歩んでくれる人を信じて、挑戦と学びを繰り返すことが必要だ。旅路は決して平坦ではないが、信念を持って一歩を踏み出すことで、必ず新しい景色が見えてくる。そして、その一歩が未来を切り開く力となる。
■ マネージャーとリーダーの違い
マネージャーは組織の安定と持続性を担う一方、リーダーは創造と変革を担う存在だ。環境変化が激しい現代に、過去の成功体験に固執する組織は柔軟性を失い、競争力を低下させる危険がある。従来のやり方に固執し、気合で乗り切ろうとする姿勢は、日本企業における不祥事やハラスメントの背景にもなり得る。
リーダーには、既存の枠組みを超え、変化を恐れずに新しい価値を創造する力が求められる。組織の論理に従うだけではなく、社会の要請に応える視点を持つことが不可欠だ。変革を担うリーダーは、時に摩擦を恐れず、組織に新しい風を吹き込む覚悟を持たなければならない。
■ キャリアの転換点と行動指針
リーダーシップを発揮するためには、自分自身と向き合い、行動指針を明確にすることが重要だ。迷ったときに立ち返るためのミッションステートメントを持ち、価値観を言語化することで、困難な局面でもぶれない軸を保つことができる。
私はキャリアの中盤で、部門間の調整の役割を担った際、「それは昔考えたけど失敗した」「そんなの誰も賛成しないぞ」といった反対意見に直面し、どん底を味わった。そんな時、自らの手帳に指針を書くことを学んだ。
私が書き留めたのは、「どんな時でも自分の意見を主張する」「他者の意見に傾聴する」「常に全力投球」「明るく元気よく」「次世代を意識して今を生きる」などだ。
これらを継続的に実践することで、摩擦もあったが、共感して応援してくれる人も増え、仲間を得るための基盤となった。苦境や孤独を乗り越えるためには、こうした指針が支えとなる。
■ 時間を取り戻し、未来を描く
リーダーシップを発揮するためには、時間の使い方を見直すことが不可欠だ。
緊急な業務に追われるなかで、本当に重要なことに時間を割けない状況は多い。意識的に余白をつくり、社外との対話や思考の時間を確保することで、不連続な戦略や新しいアイデアが生まれる。時間を取り戻し、未来を描くための工夫が、変革を導くリーダーに求められる資質だ。
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講演後、リーダーシップの実践や組織を動かすための視点などについて活発な意見交換が行われ、稲垣副議長から多岐にわたるアドバイスが送られた。
【ソーシャル・コミュニケーション本部】
