堀井長官
経団連は12月12日、東京・大手町の経団連会館で消費者政策委員会(稲垣精二委員長、吉田淳一委員長、鳥取三津子委員長)を開催した。2025年7月に就任した消費者庁の堀井奈津子長官から、消費者政策の動向と今後の方針について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。
■ 消費者を取り巻く環境変化を踏まえた消費者法制度
超高齢化やデジタル化の進展といった消費者を取り巻く環境の変化は激しく、健全な消費取引市場の形成には、既存の枠組みにとらわれない仕組みづくりが不可欠だ。
消費者庁では、消費者ならば誰でも多様な脆弱性を有するという認識を前提に、消費者が安心・安全に取引できる環境を整備するべく、「現代社会における消費者取引の在り方を踏まえた消費者契約法検討会」および「デジタル取引・特定商取引法等検討会」を設置する。
今後、両検討会を有機的に連動させ、法制度のあり方を検討していく。
■ 近年の法規制の動き
景品表示法を24年に改正した。「優良誤認表示」(注)等の疑いのある事業者が是正措置計画を申請し、それが認定された場合は、措置命令や課徴金納付命令の適用を受けない「確約手続」を導入した。
一般消費者が事業者による表示と判別することが困難な表示を不当表示と指定する「ステルスマーケティング」告示の厳正な運用も進めている。
健康食品に関して消費者の意識調査を実施したところ、約3割が医師の治療や薬の代わりに、症状を改善するものとして健康食品を使用していた。あくまで健康「食品」であり、痛みの軽減や病気の治療を行えるものではないことを、引き続き周知していく必要がある。
24年3月の紅麹関連製品に関わる事案を契機に、届け出制に基づき事業者の自己責任で食品の機能性を表示できる「機能性表示食品制度」の見直しを行っている。
さらなる検討課題として、常用しやすく、成分が濃縮され、効果が強く出やすいサプリメントについては、25年11月に消費者庁に検討会を立ち上げ、規制に関する検討を始めた。
25年6月に成立した改正公益通報者保護法は、公益通報をしたことを理由に通報者を解雇または懲戒をした者および法人に対する直罰規定や、民事訴訟上の立証責任の転換等の規定を新設した。事業者に対する体制整備の徹底と実効性の向上のための措置等も規定している。
26年12月1日の施行に向け、周知・啓発に注力していく。
■ 消費者志向経営の推進
持続可能な社会の実現に向けて、多くの事業者が消費者と共創・協働し、社会価値を向上させる消費者志向経営を推進している。
消費者庁では、消費者志向自主宣言事業者の公表や優良事例の表彰を行うほか、有識者等による連絡会の定期的な開催により、消費者志向経営のノウハウ共有や取り組みの高度化を図っている。
■ 信頼できる消費取引市場の実現に向けて
デジタル化の進展等によって利便性は高まったが、事業者や消費者等の取り組みに反して、消費者が「信頼性の高い取引ができている」と感じる割合は改善していない。
消費者が安心・安全に取引でき、事業者が信頼の基盤のなかで活動できる消費取引市場を、次世代に残すことが課題だ。
消費者庁が取り組みを進めるうえで、現場の意見は大変貴重であり、引き続き事業者の皆さまの協力をお願いしたい。
(注)商品・サービスの品質を、実際よりも優れていると偽って宣伝する行為等
【ソーシャル・コミュニケーション本部】
