小林氏
経団連は12月23日、東京・大手町の経団連会館で通商政策委員会(兵頭誠之委員長、吉田憲一郎委員長、磯野裕之委員長)を開催した。内閣官房TPP等政府対策本部の小林賢一首席交渉官から、第9回TPP委員会(注)における、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)に関する議論の模様について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。
■ 第9回TPP委員会の概要
11月21日、オーストラリア・メルボルンで第9回TPP委員会が開催され、日本からは岩田和親内閣府副大臣が参加した。CPTPPに加盟する12カ国は、世界貿易機関(WTO)を中核とする、自由で開かれたルールに基づく貿易体制に向けて協力することにコミットし、閣僚共同声明を採択した。
本委員会の議論の要点は、「CPTPPの拡大(新規加入)」「CPTPPのアップグレード(協定の一般的な見直し)」「CPTPPとEUおよびASEANとの対話」の3点に集約される。
■ CPTPPの拡大
CPTPPの基準を満たすエコノミーの加入を増やすことは、継続的な重要課題だ。
本委員会では、オークランド原則に沿う四つの加入要請エコノミー、すなわち、ウルグアイ、アラブ首長国連邦(UAE)、フィリピン、インドネシアを特定し、ウルグアイとの加入交渉開始を決定した。UAE、フィリピン、インドネシアも、適切であれば2026年に交渉開始することを決定した。
CPTPPの拡大は、単なる加盟国数の拡大だけでなく、戦略的な重要性も有する。オークランド原則に基づき、CPTPPの高い水準を満たすことを前提として、拡大を進めていくことが重要だ。
■ CPTPPのアップグレード
今回の委員会でCPTPPの第1回一般見直しは完結し、協定の更新および強化に向けた勧告を承認した。協定改正分野は、26年以降、具体的な改正交渉を進めていく。対象分野は、電子商取引、サービス貿易、税関当局および貿易円滑化、競争力およびビジネスの円滑化、貿易と女性の経済的エンパワーメント――であり、近年の貿易慣行の変化や技術の進展等を踏まえた対応が必要だ。
協定改正には至らないものの、現行の枠組みのなかで取り組みを進める分野もある。具体的には、投資、国有企業、イノベーション、ジェンダー主流化、経済的威圧、市場歪曲的慣行についてのイニシアティブの最終化――が挙げられる。
■ CPTPPとEUおよびASEANとの対話
CPTPPとEUおよびASEANそれぞれとの間で、共通の問題意識のもと閣僚共同声明を発出した。
関心事項は多くが重なっている。WTOを核とするルールに基づく自由で公正な貿易体制の重要性に係る発信について認識が一致し、経済的威圧および市場歪曲的慣行への懸念を共有した。
■ 26年の取り組み
26年はベトナムがCPTPP議長国を務める。ベトナムはCPTPPの極めて重要なステークホルダーで、日本とも関係が深い。今回決定された重要事項が着実に実行に移されるよう、日本政府として取り組んでいきたい。
(注)CPTPPの協定に基づく、協定の運営等に関する最高意思決定機関
【国際経済本部】
