中安氏
経団連は1月8日、教育・大学改革推進委員会企画部会(平松浩樹部会長)をオンラインで開催した。文部科学省総合教育政策局の中安史明生涯学習推進課長から、リスキリングの重要性と政府の取り組みについて説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。
■ 企業と大学でのリスキリングの状況と課題
多くの企業がリスキリングを経営上必要な投資と認識している一方、約9割が導入時に課題を感じている。特に、リスキリングの成果を処遇に反映する取り組みは十分に進んでおらず、人事評価制度との整合性や運用面で課題が残っている。
大学によるリスキリングプログラムは増加しているが、教育活動全体から見れば規模は限定的だ。多くの大学では学部教育に人的・時間的リソースが集中しており、社会人向け教育に十分な余力を確保しにくい。
企業との連携に不慣れであることや、社会人教育を経営の中心に据える発想が十分に根付いていないため、地域貢献の位置付けにとどまり、廉価での提供が前提となることが多い。結果として事業の持続性が課題だ。
■ リスキリングに関する政府の考え方
政府の試算によれば、2040年には、約200万人の労働力不足や、職種間のミスマッチが生じる。一方、企業の人材投資、社会人の社外学習、大学の社会人受け入れはいずれも諸外国と比べ低調な傾向にある。
今後、リスキリングやAI活用等による労働力の質の向上を通じて、人手不足や産業成長、地方創生の課題に対応していくことが政府の基本的な考え方だ。
これらを賃金引き上げや処遇改善につなげることも視野に入れ、補正予算を活用しながら、デジタルトランスフォーメーション(DX)、グリーントランスフォーメーション(GX)、半導体等の成長分野や、経営人材、エッセンシャルワーカーなどの地方に不可欠な人材の育成に向けた産学連携プログラムを強化している。
25年11月に設置された日本成長戦略会議でも、「人材育成」は分野横断的課題と位置付けられており、リスキリングを含むさまざまな教育段階の人材育成について文科省が中心となって検討を進めている。
■ 文科省の主な施策
産業界が求めるリスキリングの対象領域の整理を進めるとともに、25年度は「産学連携リ・スキリング・エコシステム構築事業」により、地方創生や産業成長に資するプログラムを提供する大学に、1カ所当たり4000万円を補助している。
事業の中核として、スキルの可視化や学習成果の評価、教員のインセンティブ設計や修士課程との接続なども検討していく。
本事業は補正予算での取り組みではあるが、経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)2024ならびに2025には、29年度までの継続方針を明記し、政策の持続性確保を図っている。
加えて、職業実践力育成プログラム(BP)認定制度やポータルサイト「マナパス」による情報発信も行っている。
文科省は、産業界と大学が連携しながらリスキリングを着実に推進していけるよう、引き続き支援する。
【教育・自然保護本部】
