経団連は2月17日、提言「社会実装を見据えた産学連携・人材交流の高度化」を公表した。提言「2040年を見据えた教育改革」(25年3月6日号既報)のフォローアップとして、産学連携・人材交流に関する実態調査を踏まえ、研究成果の社会実装を見据えた産学連携のあり方と、大学に求められる改革の方向性を提言した。概要は次のとおり。
大学は、中長期的・基礎的な知の創出拠点であると同時に、高度な専門性と汎用的な能力を備えた人材を育成する重要なパートナーでもある。企業でも、大学の専門的知見や研究者ネットワークを活用することで、イノベーションの創出や社会実装を加速することが期待されている。
こうしたなか、大学が期待される役割を発揮し、産学連携が着実に進展すれば、研究や人材育成への投資を前向きに検討する企業は広がると考えられる。
■ 産学連携において企業が大学に期待する機能
大学には、研究成果の創出にとどまらず、その社会実装までを見据えた視点と、それを実現するための企業との協働体制の構築が求められている。しかし、制度や組織風土の違いなどから、企業が求めるスピード感との間にギャップが生じている例も散見される。戦略立案やプロジェクトマネジメントを企業側が主導し、多くのリソースを負担しているケースもある。
こうした状況を踏まえ、大学内の研究シーズと企業ニーズを迅速にマッチングする仕組みの整備が必要だ。
社会実装の目的や内容、時期を含めた中長期的な戦略について、大学と企業の双方が認識を共有し、産学連携による社会的インパクトの創出を共通のミッションとすることも重要だ(図表参照)。
(図表のクリックで拡大表示)
■ 産学連携・人材交流の高度化に向けた改革の方向性
1.産学連携を促進するための大学の組織・環境整備
産学連携の成果を大学全体や部局の評価、予算配分等に適切に反映する仕組みの構築や、大学敷地内における共同ラボ設置の促進が期待される。日本全体の研究力強化に向け、運営費交付金や科学研究費助成事業(科研費)の拡充が不可欠だ。
2.マッチング基盤の高度化・拡充
研究シーズと企業ニーズを可視化する共通データベースの整備や、企業が理解しやすい形で研究シーズを発信することが求められる。
地域創生の観点から、各地域の中核大学と産業界との間で、マッチングを効果的に進めていくことも重要だ。
3.産学コーディネート人材の育成強化
政府は、社会実装や事業可能性の探索までを支援できる産学コーディネート人材を育成し、確保することを国家的課題に位置付け、体制整備と支援の拡充を早急に進めるべきだ。
各大学にも、若手・中堅層を中心に、社会実装を主体的に担える人材の計画的育成と配置拡大が求められる。その際には、これらの人材の専門職としての地位や評価、処遇を高める仕組みを整備することも必要だ。
4.知財・機密管理に関するガイドラインやツールの整備
新たに産学連携に取り組む企業には、知的財産・機密管理に関する契約書類等のひな型を整備することが望ましい。そうすることで、産学連携への第一歩を踏み出しやすい環境が整い、連携の裾野が拡大することが期待できる。
【教育・自然保護本部】
