北米の自由貿易協定である米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA、2020年7月発効)が26年7月に見直しを予定している。そこで経団連は2月17日、「米国・メキシコ・カナダ協定の見直しに関する意見」を公表した。概要は次のとおり。
■ USMCAの意義と見直しへの基本的な意見
ルールに基づく自由で開かれた国際経済秩序は危機にひんしており、世界貿易機関(WTO)は本来の機能を十分に果たせていない。経済連携協定(EPA)・自由貿易協定(FTA)は、自由で公正な貿易投資の推進を通じて、さらなる成長を目指す国や地域が協調・協力を深めるために不可欠な枠組みだ。
USMCAは、EPA・FTAの一つであると同時に、四つの意義((1)北米経済の強靭性・競争力の制度的基盤(2)経済安全保障の確保(3)高関税下の利用率上昇にみられる域内の貿易投資の活性化(4)高水準のルール)を持つ。
USMCAの見直しに当たり、現行の3カ国による枠組みを維持するとともに、42年までの協定延長に合意することが極めて重要だ。協定に盛り込まれたルールについては、現行の内容を基本的に維持すべきであり、仮に改訂する場合でも、現行をベースとして、現実的に適用可能で明確かつ中長期にわたって安定的なものとすべきだ。
■ 個別の規定に関する意見
原産地規則については、北米市場の一体化に逆行するような要件の厳格化や複雑化は回避すべきであり、むしろ一体化を促す方向での制度設計が望ましい。
デジタル貿易に関する規定については、自由な越境データフローやデジタルプロダクトの無差別待遇など、産業競争力の強化に不可欠な現行の高水準な規定を維持すべきだ。
投資紛争解決については、予見可能性を高めて域内投資をさらに活性化させるべく、カナダ・米国間のISDS(投資家と国との間の紛争解決)条項設置の検討を含め、公平公正な投資紛争解決に資するメカニズムを構築すべきだ。
不正貿易は正規製品の市場アクセスを阻害するとともに、域内への投資意欲をそぐことになりかねず、不正貿易防止とマネーロンダリング対策を規定すべきだ。
その他、税関手続きの円滑化や政府と貿易関係者の対話の機会の確保など、協定の実効性を高める観点から、運用面の改善も必要だ。
経団連は、本提言を基に、米国、メキシコ、カナダとの対話を継続し、日本企業による事業活動を通じた北米経済の発展に貢献していく。
【国際経済本部】
