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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2026年2月19日 No.3718 デジタル経済の進展と統計的把握 -大久保慶大教授から聴く/経済財政委員会統計部会

大久保氏

経団連は1月21日、東京・大手町の経団連会館で経済財政委員会統計部会(松村圭一部会長)を開催した。慶應義塾大学経済学部の大久保敏弘教授から、デジタル経済の進展状況と統計的把握に向けた課題や方策を聴いた。概要は次のとおり。

■ 就業者実態調査から見るデジタル経済の進展

NIRA総合研究開発機構と共同で1万人規模の「デジタル経済・社会に関する就業者実態調査」を実施している。回答者を変えずに同じ質問を継続的に問うパネル調査で、デジタル経済の進展状況を時系列で調査・分析している。

仕事におけるデジタル活用の代表的なものはテレワークだ。利用率は東京都では約20%を維持する一方、全国平均では約13%とコロナ禍以降は低く推移している。他方、高所得層やIT産業に利用が偏るなど、地域や産業、年収などで利用率に差が生じている。

次に着目されるのは生成AIだ。利用は着実に拡大し、約22%の就業者が定期的に利用している。主な用途は情報収集や文書作成などの事務仕事であり、多くの人が約20%の効率アップを実感している。

こうしたテレワークやAIの進展に伴って、それらの活用機会が多い事務職は代替や外部委託が進み、今後、賃金低下や激しい競争が生じる可能性があるといえる。

■ 統計的にどう捉えるのか

無料ITツールやSNSによるコミュニケーション、ギグワーク、シェアエコノミー、サブスクリプションなどは、現行の国民経済計算(SNA)体系では把握できていない。

例えば無料ITツールは、仮に有料化された場合の「支払い意思額」から潜在的な市場規模を算出すると、一つのツール当たり年間800億~900億円規模に相当するが、GDPには適切に反映されていない。既存統計では、これらを正確に把握するのは容易ではないからだ。特に支払い意思額などは政府統計にはなじまない。

しかし本調査のように、時系列で同じ質問・形式を繰り返し調査することにより、民間調査でもこれらの項目を把握することができる。そうした民間調査の結果を組み合わせた「ダッシュボード型」で、進展するデジタル経済を把握していくことも一案だ。

■ デジタル経済の課題と今後の行方

デジタル経済の課題は統計的把握にとどまらない。外国資本によるデジタル関連の産業やプラットフォーマーの独占も課題だ。これは法人税などの課税の問題や、海外企業による個人顧客情報の独占の問題にもつながる。SNSや自動運転、ギグワークなどに関するルール作りも進んでいない。デジタル格差の問題など課題は山積している。

デジタル経済の進展は、人々の意識や政治行動にも影響を与えている。特にSNSの発展は情報の受け取り方を分断させ、国際的に保護主義や保守化、ポピュリズムなどが拡大しつつある。日本もその例外ではない。デジタル経済を通じて迫りくるこうした大きな問題にも目を向ける必要がある。

【経済政策本部】

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