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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2026年2月19日 No.3718 シンポジウム 高付加価値社会の実現に向けたこれからの働き方

経団連は1月21日、東京・大手町の経団連会館で、わが国が目指す高付加価値創出循環型社会の実現に欠かせない裁量労働制の拡充に向けた機運醸成を目的に、シンポジウム「高付加価値社会の実現に向けたこれからの働き方」を開催した。概要は次のとおり。

■ 講演「経団連が考える今後の労働法制」(小路明善副会長・労働法規委員長)

少子高齢化と人口減少が進む日本経済では、労働量に依存した成長モデルは限界に達しており、高付加価値創出循環型社会への転換が不可欠だ。2019年の働き方改革を契機に、長時間労働の是正やエンゲージメントの向上が進んでいる。

近年の賃金引き上げにより、成長と分配の好循環も動き始めている。今後はこの流れを定着させるため、人への投資と付加価値の高い商品・サービスの創出を継続的に進める必要がある。そのなかで、時間ではなく成果や役割を重視する処遇も可能とするよう、労働時間法制を複線化することが求められている。

経団連は、自律的に仕事を遂行し、時に集中して働くことで、能力の最大発揮と成長意欲の一層の喚起を促す裁量労働制の拡充を通じて、労働の高度化による持続的な成長を目指す。

■ 講演「多様な人材が活躍でき、時間生産性が高い働き方の実現を」(佐藤博樹東京大学名誉教授/中央大学ビジネススクール・フェロー)

働き方改革の本質は、残業前提のフルタイム勤務の働き方から脱し、多様な人材が活躍でき、かつ限られた時間で付加価値の高い働き方ができるように組織を転換することにある。

例えば、女性の活躍の拡大に関しては、短時間勤務からフルタイムに戻りにくいとの指摘があり、残業を前提とした働き方から脱することが課題だ。

働き方改革を推進するためには、フルタイム勤務や残業ができるかどうかではなく、時間当たりの生産性で評価することが大事だ。残業などで長く働ける人を評価する職場の風土を改め、時間当たりの生産性を評価することで、仕事の質の向上を促すような評価基準に転換することが不可欠だ。

裁量労働制は制度に問題があるのではなく、その運用、とりわけ管理職のマネジメントに課題がある。長時間労働をいとわない管理職が働き方を変えない限り、裁量労働制で働く部下の適切なマネジメントはできない。管理職自身の働き方改革とともに、望ましい社員像を、時間意識が高くかつ仕事以外の生活も大切にする社員に転換する必要がある。

■ パネル討議「生産性向上と柔軟な働き方の実現に向けた取り組み」

TOPPANホールディングスの奥村英雄執行役員・人事労政本部長、トヨタ自動車労政室の加藤吏 未来の働き方開発グループ長、富士通エンプロイーサクセス本部の大宮泰治エンプロイーリレーション統括部長が登壇し、活発な議論を交わした。主な発言内容は次のとおり。

(奥村氏)

コロナ禍を契機に専門業務型裁量労働制を導入するとともに、企画業務型裁量労働制の対象範囲を一般職の最上位層のみに限定した。

裁量労働制の導入により、社員が成果重視の働き方を目指すようになった。裁量労働制の適用から外れた社員から不満が出るほど、社員の裁量労働制への満足度は高い。女性をはじめ多様な社員の活躍にもつながっている。

他方で各企業の労使間で裁量労働制の対象業務を決定できる仕組みの構築は急務だ。

(加藤氏)

当社は創業期から「モノづくりは人づくり」という考えを大切にし、一人ひとりが熱量・力を発揮すべく、各種制度を整備・拡充している。

裁量労働制は、24年に労働組合と話し合ったうえで適用範囲を拡大した。社内アンケートでは、適用者から「仕事をやり切ることができる」などの好意的な意見がある。

今後のAIの活用の進展とともに、生産現場に従事する者、技術員、事務員などが、職種の垣根なく働くことが求められるようになる。さまざまな働き方の選択肢を用意し、社員のやりがいやエンゲージメントを高めていきたい。

(大宮氏)

裁量労働制は、社員が裁量をもって自律的に働くことができるものであり、当社が導入しているジョブ型人材マネジメントで重視する「オーナーシップを持った働き方」の実現に大きな効果がある。

裁量労働制は、AIが台頭するなかで、人が価値を生み出す仕事をしていくためにも重要だ。

【労働法制本部】

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