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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2026年2月26日 No.3719 武田慶大フュージョンインダストリー 研究センター長・准教授が講演 -常任幹事会

武田氏

経団連は2月4日、東京・大手町の経団連会館で常任幹事会を開催した。慶應義塾大学KMD研究所フュージョンインダストリー研究センター長・准教授を務める武田秀太郎氏が、「フュージョンエネルギーが駆動する新産業とその展望」と題して講演した。概要は次のとおり。

フュージョンエネルギーは、反発する原子核同士を人為的に融合させたときに得られるエネルギーだ。連鎖反応が起きないため安全であり、高レベル放射性廃棄物も生成されない。研究の進展により、フュージョンエネルギーの生成自体には成功しており、現在の課題は、これをいかに発電・商用化につなげるかにある。

国際的にもフュージョンエネルギーへの投資は加速しており、全世界でスタートアップも増えている。しかし、日本は民間・公的投資の規模で諸外国に後れを取っている。

日本のフュージョンエネルギー関連機器産業(以下、フュージョンインダストリー)は、フュージョンエネルギーを実現するために、世界的にも中核的な役割を果たしてきた。

フュージョンインダストリーのもと、国内にフュージョンエネルギープラントを建設すれば、大きな経済効果と、雇用を創出できる。世界に先駆けて発電を実現できれば、諸外国とのサプライチェーン競争を制することになり、エネルギー黒字国となり得る。

フュージョンエネルギーにおける日本の強みは、全ての装置を国内のモノづくりで賄ってきた総合力にある。日本の勝ち筋は、幅広い企業や業界の連携と官民の連携により、総力戦でフュージョンエネルギーの実現に取り組むことだ。

政府でも、2030年代の発電実証を目指し、民間企業へのマイルストーン支援を行うこととしており、令和7年度補正予算で、総額600億円の支援が行われることとなった。

フュージョンエネルギーには、他の分野との協調の可能性もある。発電のために利用するだけでなく、AI・半導体、情報通信、海洋、マテリアル開発、グリーントランスフォーメーション(GX)・エネルギー安全保障など、成長戦略分野との連携が期待される。

官民投資促進に向けた課題としては、(1)2030年代の発電実証および商用化に向けた官民の1兆円規模の明確なコミットメント(2)民間コンセプトを包含する共通研究開発インフラの整備を通じた、実証の停滞・遅延リスクの低減(3)フュージョンエネルギー固有の安全性に立脚し、国際的展開を見据えた安全規制方針の策定――が求められる。

過去を振り返ると、エネルギー権益の獲得により、産業が成長し、地域が潤ってきた。フュージョンエネルギーは、このエネルギー権益に他ならず、日本の持続的発展をもたらすものだ。

【総務本部】

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