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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2026年2月26日 No.3719 労働基準行政の動向 -労働法規委員会

岸本氏

経団連は1月28日、東京・大手町の経団連会館で労働法規委員会(冨田哲郎委員長、小路明善委員長、芳井敬一委員長)を開催した。厚生労働省の岸本武史労働基準局長から、労働基準行政の動向について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ 労働基準法制の見直し

2025年1月から、労働政策審議会労働条件分科会で、働き方改革関連法施行5年後の見直しについて議論している。

裁量労働制は、これからさらなる議論が必要だが、見直す場合には労使双方にメリットがある制度にしなければならない。経団連が主張する対象業務の拡大には濫用防止や代替措置等も含めた議論が重要だ。

副業・兼業については、現行法制では割増賃金の算定に当たって労働時間の通算が必要であり、この点の見直しの是非を議論している。

フレックスタイム制と通常勤務日の組み合わせを可能とする見直し、勤務間インターバル制度(終業時刻から次の始業時刻までの一定時間以上の休息時間の確保)の見直し、一定日数以上の連続勤務規制のあり方、過半数代表の選出方法の適正化――なども検討している。

今後は、経済財政運営と改革の基本方針2025(骨太方針2025)に盛り込まれた「働き方改革の総点検」の結果も踏まえ、引き続き労働条件分科会での議論を進めていく。

25年11月には、高市早苗内閣総理大臣のリーダーシップのもと、日本成長戦略会議が発足した。

同会議では、分野横断的課題の一つとして労働市場改革を挙げており、これを受けて同年12月に労働市場改革分科会が設置された。同分科会では、(1)労働生産性の向上(2)労働移動の円滑化(3)労働参加の確保――の三つの大きな柱を基に、具体的な議論を進めていく。

■ 解雇無効時の金銭救済制度

解雇の有効性を巡る裁判で、労働者が勝訴して解雇が無効と認められた場合、労働者の請求に基づき使用者が金銭を支払うことで労働契約が終了する「解雇無効時の金銭救済制度」の政府の検討状況に関しては、「規制改革実施計画」(24年6月閣議決定)を踏まえて四つの調査を実施し、その結果を労働条件分科会に報告した。

解雇による不利益と解決金との関係等については、専門的な観点からの議論が必要との山川隆一分科会長の総括を受け、今後、有識者による検討会を設置する予定だ。

■ 職場での熱中症防止対策

夏季の暑さが年々増すなか、職場での熱中症の死亡災害が22年以降3年連続で約30人に達した。死亡災害にまで至った原因の多くは、初期症状の発見や対応の遅れだった。

そこで25年6月、改正労働安全衛生規則を施行し、熱中症の「報告体制整備」「重篤化防止措置の手順作成」「関係作業者への周知」――を事業者の義務とした。確定値はまだ公表していないが、多くの事業者に尽力いただき、施行後の夏の死亡災害は前年比で大きく減少する見込みだ。

夏季の暑さが増すほど、熱中症による休業4日以上の死傷者数が増える傾向は依然として続いている。今後は、新たに設置した「職場における熱中症防止対策に係る検討会」で、必ずしも法規制ではない形での熱中症の予防対策を議論していく。

■ 労働者災害補償保険(労災保険)制度の見直し

労働政策審議会労災保険部会では、有識者による研究会の中間報告書も踏まえ、25年秋から9回の会合を重ねた。その結果、「労災保険制度の見直しについて」をまとめ、厚労大臣に建議した。

建議では、労災保険給付請求権の消滅時効期間の延長や支給・不支給決定に関する情報の事業主への提供をはじめ、制度全般にわたる論点について見直しを提言した。建議を受け、労災保険法の改正を含む所要の手続きを進めていく。

【労働法制本部】

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