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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2026年2月26日 No.3719 ユーラシア・グループと懇談 -トップ・リスク2026について聴く

(図表のクリックで拡大表示)

カーン氏

ダポンテ・スミス氏

経団連は2月3日、東京・大手町の経団連会館でユーラシア・グループのロバート・カーン マネージング・ディレクター、ノア・ダポンテ・スミス米国担当シニア・アナリストから、同社が年始に公表した「トップ・リスク2026」(図表参照)について、説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ 米国関連のリスク

2026年は米国が地政学リスクの主な要因になる。

トップ・リスクの1位は「米国の政治革命」だ。米国では政治のルールが根本的に書き換えられている。ドナルド・トランプ大統領個人の選択が米国政治を決めるという状況が、26年に恒久的なものになる。この変化の要因は(1)大統領の権限に対して議会等の抑制が働かないこと(2)政治的な主体の振る舞いに関する規範が侵害されていること――だ。

大統領を制約し得る要因があるとすれば、(1)裁判所(2)共和党の支持者(3)債券市場――だ。特に裁判所は、25年はトランプ大統領の動きの速さについていけなかったが、26年春には、関税に関する判決が出る。

政治革命と関連するのが、6位のリスク「米国式国家資本主義」だ。25年、米国政府は一般的な財政政策を超えて経済に介入した。大統領との近さがビジネスの成否を決める重要な要素になっている。こうした国家資本主義では、資本が効率的に配分されないため、将来の米国の競争力に悪影響を及ぼし得る。

外交に関するリスクは3位の「ドンロー主義」だ。かつてのモンロー主義は西半球への諸外国の介入を認めないとの考えだったが、ドンロー主義では、米国は利益がある場合は西半球に介入できるし、すべきだとしている。米国が西半球以外から後退すると考えている人々もいるようだが、現在もイランに軍事アセットを集めているとおり、米国は世界に自らの力を投射しようとしている。

■ 中国関連のリスク

中国もリスクの中心だ。「中国のデフレ」は7位とした。中国のデフレスパイラルは26年にさらに深まる。習近平国家主席は、消費の刺激よりも政治的な支配や技術の優位性を得ることを優先しており、27年の共産党大会を前に、政治的な安定を重視している。過剰生産は26年も続く。

2位のリスクは「『電気国家』中国」だ。中国は21世紀型の電動化社会のインフラを安価に提供できる世界初の電気国家になった。他方で米国は世界最大の産油国家になっている。米国は、同盟国等に対して中国と取り引きしないように圧力をかけているが、中国はこれらのインフラを通じて外交力やソフトパワーを向上させている。

■ その他のリスク

欧州については4位のリスク「包囲される欧州」がある。英仏独の中道派の政権は、左派と右派の両方から強い圧力を受けている。26年は3カ国いずれにおいても総選挙は予定されていないが、どこかの国で政権が崩壊しても驚きはしない。

5位の「ロシアの第2の戦線」も欧州にとってはリスクだ。ウクライナは、人員と装備が深刻なほど不足しているが、26年も戦争は続く。われわれはむしろ、北大西洋条約機構(NATO)との第2戦線を懸念している。ロシアはグレーゾーン作戦をエスカレートさせ、NATOを分断させようとする。

【国際経済本部】

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