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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2026年3月5日 No.3720 OECD・BIACの活動 懇談会を開催 -OECD諮問委員会

正木氏(提供:OECD)

経団連のOECD諮問委員会(稲垣精二委員長)は2月18日、東京・大手町の経団連会館で経済協力開発機構(OECD)・経済産業諮問委員会(BIAC)の活動に関する懇談会を開催した。オンラインで出席したOECDの正木靖事務次長から、保護主義が高まるなかでのOECDのルール形成の意義について説明を聴き、意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ OECDのルール形成の役割の重要性

昨今のナショナリズムの高まりや地政学的緊張を背景に、各国は経済安全保障や技術優位性を重視し、内向きの政策を強めている。一方で、開放的で公正な競争がもたらす長期的利益を維持することは不可欠だ。

こうしたなか、政策分野のエビデンスを国際的枠組みに転換するOECDのルール形成の役割が一層重要となっている。

■ OECDの多様なルール形成

OECDには法的義務を伴う枠組みと、義務は伴わないが広く支持される基準がある。「OECD/G20 BEPS(税源浸食と利益移転)包摂的枠組み」には150超の法域が参加し、利益移転への対応や多国籍企業の予見可能性向上を目的に国際税ルールの近代化を進めている。

2019年採択、24年改訂の「OECD AI原則」は、世界初の政府間AI基準で、49法域が支持している。加盟国以外も参画する開かれたアプローチが、ルールの正当性と信頼を高め、分断緩和に寄与している。

■ ルール形成の基盤となるエビデンスの提供

こうしたOECDの基準や枠組みは、単なる交渉の産物ではなく、共通のエビデンスに基づいて形成される。各国にとって整合的で相互運用可能な枠組みを構築するには、議論の前提となる事実認識の共有が不可欠だ。

OECDは国際比較可能なデータベースと分析ツールを通じ、政府や企業の意思決定を支えるエビデンスを提供している。例えば、サービス貿易制限指標(STRI)は約50カ国・20超の分野の規制障壁を可視化し、AMNE(Activity of Multinational Enterprises)データベースは多国籍企業の構造や利益配分を分析している。

MAGIC(Manufacturing Groups and Industrial Corporations)データベースは世界上位500社超の製造企業への産業補助金を推計し、市場のゆがみや波及効果を明らかにしている。

■ エビデンスを国際協力に結び付ける対話の場

OECDは、分析に基づくエビデンスを国際協力に結び付ける対話の場を提供しており、これが大きな強みの一つだ。

代表例であるピアレビューでは、各国が取り組みを相互に比較し、課題を共有している。広島AIプロセス報告枠組みやOECD国有企業(SOE)のコーポレートガバナンス・ガイドライン、鉄鋼グローバルフォーラム(GFSEC)などでピアレビューを実施し、継続的な改善を促進している。

経団連をはじめとする経済界との対話を通じ、OECDの基準は実務に根ざした実行可能なものとして維持されている。

【国際経済本部】

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