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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2026年3月5日 No.3720 エヤダト・ヨルダン大教授と懇談

エヤダト氏

経団連は2月3日、東京・大手町の経団連会館で、ヨルダン大学のザイド・エヤダト教授との懇談会を開催した。エヤダト氏から、中東情勢の最新動向と地域の安定化に向けた課題等について説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ 戦後中東体制の終焉と新たな力の均衡

第2次世界大戦以降、中東ではエジプト、イラク、シリアの3カ国が主導する安全保障体制が築かれた。しかし、イラク戦争、アラブの春、アブラハム合意、2023年のガザ紛争によって同体制は完全に崩壊し、アラブ諸国の権力の中心はサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、カタールなどの湾岸諸国へ移動した。

イスラエルとイランの競争は地域の力学を左右してきたが、イスラエルが圧倒的な優位を確立したことで、新たな構図が形成されつつある。

イスラエルは、イランの代理勢力であるヒズボラ、ハマス、フーシ派などを壊滅させ、シリアのアサド政権を打倒した。パレスチナ・ガザ地区やヨルダン川西岸地区、シリア領内では領土支配を拡大し、米国の支援を背景に地域の再編を進めている。

■ イラン交渉と中東を巡る地政学

核兵器開発の放棄やミサイル戦力の削減など、イランに対し、米国が軍事圧力を背景に厳しい条件を要求するなど、強制外交が進められている。米国やイスラエルは、イランの大幅な譲歩あるいは米国による攻撃によって体制内で権力の移譲が行われることを期待しているが、現体制内部の抵抗勢力は強く、交渉が決裂する可能性もある。

ガザでは、イスラエルが60%を占有し、パレスチナ人を残り40%に追いやる計画が進んでいる。シリアでは新政権が樹立されたものの、テロ組織出身の勢力を含む不安定な連立体制が続いている。

中東では現在、米国とイスラエルがアブラハム合意の論理でまとめようとする動きがある一方、サウジアラビア、トルコ、エジプト等がそれを牽制するなど、再編成の過程にある。

世界の石油生産量の20%と貿易量の30%が通過する紅海の重要性はますます高まっている。イエメン・アデン港やバブ・エル・マンデブ海峡は各国が支配権を争う重要拠点となりつつある。

【国際協力本部】

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