経団連は1月29日、都内で労働法規委員会労働安全衛生部会(赤瀬裕部会長)と関係する3ワーキンググループによる合同会合を開催した。厚生労働省労働基準局安全衛生部の土井智史安全課長から「高年齢者の労働災害防止対策」、佐々木孝治労働衛生課長から「職場における熱中症防止対策に係る検討会」について、それぞれ説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。
■ 高年齢者の労働災害防止対策(土井氏)
2025年の労働安全衛生法の改正により、高年齢者の労働災害防止の推進が事業者の努力義務とされた(施行は26年4月)。背景には、労働災害による死傷者数に占める60歳以上の割合が年々増加し、直近では全体の約3割に達していることがある。年齢別の労働災害発生率も50代後半から顕著に上昇し、70歳前後でピークを迎えるほか、負傷後の休業期間も年齢とともに長期化する傾向がみられる。
そこで専門家等による検討会で、現行のエイジフレンドリーガイドラインをベースに指針案を検討した。
この指針案では、まず経営トップによる方針表明と体制整備を行い、高年齢者の特性を踏まえたリスクアセスメントの実施を求めている。
そのうえで講ずべき対策として、(1)ハード・ソフト両面からの職場環境改善(2)健康診断や体力チェックによる状況把握(3)個々の健康・体力に応じた業務のマッチングなど適切な配置(4)本人および管理監督者への安全衛生教育の実施――の4点を挙げ、優先度の高いものから取り組むことを呼びかけている。
業種別マニュアルの整備やリーフレットによる周知、エイジフレンドリー補助金の拡充なども進める方針だ(同指針は26年2月10日に公表済み)。
■ 職場における熱中症防止対策に係る検討会(佐々木氏)
夏季の暑さが年々増すなか、職場での熱中症の死亡災害が22年以降3年連続で約30人に達した。
そこで25年6月に改正労働安全衛生規則を施行し、熱中症対策に関する「報告体制整備」「重篤化防止措置の手順作成」「関係作業者への周知」――を事業者の義務とした。まだ確定値の段階ではないが、施行後の夏の死亡災害は前年比で大きく減少する見込みだ。
過去のデータからは、夏季の暑い時間が長い年ほど、熱中症による休業4日以上の死傷者数は増える傾向にあるが、当初の予想よりは、25年夏の死傷者数は抑制できた可能性がある。多くの事業者に尽力いただいた。
今後は、新たに設置した「職場における熱中症防止対策に係る検討会」で議論を進める。議論の内容を踏まえながら、21年に労働基準局長名で発出した「職場における熱中症予防基本対策要綱」を基に、内容を充実させた「職場における熱中症防止のためのガイドライン」を策定し、分かりやすく周知することを検討している。
検討会では、陸運業や警備業などの1人作業が発生するケースへの対応や、熱中症リスクの高い可能性がある高年齢者への配慮、継続的な労働衛生教育が重要という指摘があった。
高年齢者の熱中症対策としては、エイジフレンドリー補助金で熱中症対策経費を一部補助対象にしているが、対象年齢の拡充を求める意見があった。
現場に詳しい関係業界、労使等の意見を踏まえつつ、引き続き改正省令の徹底を図るとともに、必ずしも法規制ではない形での熱中症の予防対策を議論していく。
【労働法制本部】
