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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2026年3月19日 No.3722 わが国ロボット(AI+)戦略が取るべき道筋 -産業競争力強化委員会

政府が2025年度中にロボットの実装拡大・競争力強化に関する戦略を策定する方針を掲げるなか、経団連は「わが国ロボット(AI+)戦略のあり方に関する提言」の取りまとめに向けた検討を加速している。

この検討の一環として2月26日、東京・大手町の経団連会館で産業競争力強化委員会(澤田純委員長、橋本英二委員長、手代木功委員長)を開催した。

提言案の審議に先立ち、PwCコンサルティングの瀬川友史パートナーから、ロボット市場の構造変化を踏まえた日本の方向性について説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ ロボット(AI+)が切り開く産業競争力強化の方向性(瀬川氏)

瀬川氏

ロボット市場はこれまで、工場で利用される「産業用ロボット」と、清掃・搬送等を担う「サービスロボット」を中心に形成されてきた。

自動車や電機・電子を中心に導入が進む産業用ロボットの世界市場は年率7%で成長し、導入台数は年間54万台に達している。こうしたなか、中国の産業用ロボット市場では、内資比率が5割を超えるなど、中国メーカーが急速に存在感を高めている。

ロボットの価値の源泉がハードウエアからソフトウエアへと移行しつつあるなか、ロボットは単なる機械装置から、データやソフトウエアと連携して価値を生み出すシステムへと変容し、食品や医薬品、物流、農業等の分野にも活用の余地が広がっている。

ヒューマノイドやモバイルマニピュレータ(物をつかんで操作できるアームを搭載した移動型ロボット)等、AIを活用した汎用ロボットの開発も進み、米国や中国では巨額の投資が集積している。

ただし、センサーの性能やAIの精度、安全規格等の課題が残されており、本格導入には時間を要している。

日本は、ソフトウエアを主軸としたロボットシステムへの転換、コア技術の確保、ユーザー企業を巻き込んだユースケースの創出、人材育成――などに継続的に取り組んでいくことが極めて重要だ。

製造業をはじめとする日本の現場には、高度な技能や品質の高い作業データが蓄積されている。それをロボット(AI+)に活用することで新たな競争力につながると期待できる。

◇◇◇

また、モーションリブの溝口貴弘社長から、力触覚技術「リアルハプティクス」等について説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ 力触覚技術「リアルハプティクス」の社会実装事例等(溝口氏)

溝口氏(右)と澤田委員長

力触覚とは、硬さや柔らかさ、滑りやすさといった感触を通じて得られる情報であり、あらゆるロボティクス技術の根幹だ。人はこうした手応えを頼りに力加減を調整しながら日々の作業を行っている。

一方、従来のロボットは視覚情報を中心に動作を制御するため、環境の変化や対象物の状態に柔軟に対応することが難しく、非定型作業への適用には限界があった。

16年設立のベンチャーであるモーションリブは、独自に感触制御技術「リアルハプティクス」を開発した。

モーターから得られる情報を解析することで力触覚を「身体性データ」として定量化し、力と速度を統合的に制御することで対象物の状態に応じた動作調整をリアルタイムで行うことができる。熟練作業者の動きや力加減をデータとして取得し、遠隔作業や自動化につなげる取り組みも進めている。

国家・巨大資本によるAIロボティクス開発が空前のスピードで加速するなか、日本のロボット技術は国際的な主導権を失いつつある。

量ではなく質で対応していくためには、革新的な技術導入が急務だ。ロボットの活用を農業や建設等非製造業分野にも広げていく際に、日本の強みである現場の技能や作業データをフィジカルデータとして活用することが重要であり、リアルハプティクスはその基盤となり得る技術だ。

◇◇◇

両氏の説明に続いて意見交換を行った。その後、「わが国ロボット(AI+)戦略のあり方に関する提言」について審議し、了承された。

【産業政策本部】

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