政府が2025年度中にロボットの実装拡大・競争力強化に関する戦略を策定する方針を掲げるなか、経団連はその動きを注視しつつ、わが国ロボット(AI+)戦略のあり方の検討を進めている。
この検討の一環として2月6日、東京・大手町の経団連会館で産業競争力強化委員会企画部会(地下誠二部会長)を開催した。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の高田和幸AI・ロボット部長、産業技術総合研究所(産総研)の中坊嘉宏ウェルビーイング実装研究センター副研究センター長から、AI・ロボット分野の取り組みや課題認識等について、それぞれ説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。
■ AIやロボットの社会実装に向けた展望等(高田氏)
NEDOは、AIやロボット、量子ほか先端分野の研究開発に対するリスクマネーの供給等を通じて、イノベーションの社会実装を支援する国立研究開発法人だ。25年度は、製造・建設、人流・物流、ヘルスケア等幅広い領域で、AIやロボットを社会実装するための取り組みを展開している。
これまで「ロボットを活用した乳幼児の発達・育児支援」や「遠隔操作により現場を無人化する配送システムの構築」等で成果を上げてきた。現在は、国内の生成AI基盤モデル開発を強化すべく、GENIAC(Generative AI Accelerator Challenge)事業にも注力している。生成AIを持続的に高度化させるためには、業界横断でデータを共有・活用する「データエコシステム」を構築することが重要だ。
今後は多様な用途に対応できるロボットの開発やソフトウエアを中心としたシステム設計等が重要となるなか、こうした取り組みを支える人材を育成するとともに、企業・研究機関等が課題や知見を共有できるコミュニティを形成することが求められる。
■ AI×ロボットの安全とウェルビーイング(中坊氏)
人口推計上、わが国では少子高齢化と労働人口の減少が今後数十年続くことが確実と想定されている。しかし、AI×ロボットによって、このメガトレンドを覆せる可能性が指摘されている。
AI技術の導入で人の作業がより容易に代替または補完できるようになり、ロボットはますます重要な役割を果たすと期待されている。
AIによってロボットの用途や利用環境が急拡大する一方、新たなリスクへの対応も欠かせない。例えば、機能や安全等の技術面のみならず、心理的な安心感や社会受容等を含め、ロボットの安全性を考える必要がある。
AIの不確実性や事故の際の責任の所在など、AIと従来の機能や安全の枠組みをいかに接続していくかも重要な課題だ。
ロボットの導入を単なる技術開発上の課題と捉えるのではなく、利用者や社会全体の価値向上に資するウェルビーイングの観点から位置付けることが肝要だ。
人々の生活や仕事の場への広範な普及を見据え、人、AI、ロボットのあるべき関係や社会の姿について、広く議論を進めていく必要がある。
【産業政策本部】
