高宮氏
経団連は2月26日、東京・大手町の経団連会館でイノベーション委員会ヘルステック戦略検討会を開催した。内閣府健康・医療戦略推進事務局の高宮裕介参事官から、医療等情報の利活用の現状と方向性について、説明を聴くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。
■ 医療DXの取り組み
政府は、医療情報、介護情報、行政・自治体情報を連携させる「全国医療情報プラットフォーム」の整備を軸に、医療DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進している。2025年12月に成立した医療法等改正法では、柱の一つに医療DXの推進を位置付けた。
改正法では、診療時に共有する必要性の高い「3文書6情報」(診療情報提供書などの3種類の文書と、病名や検査結果などの6種類の項目)に限定した電子カルテ情報共有サービスの構築を進め、その普及を目指す。電子カルテ情報共有サービスで蓄積される臨床情報の2次利用(研究開発、政策立案等)も可能とする。
厚生労働省が保有するレセプト情報等データベースなどの公的データベースについては、氏名等を置き換える「仮名加工」を施した情報の利用・提供を可能とし、データベース間の連結解析も制度上可能とした。
■ 次世代医療基盤法の動向
次世代医療基盤法は、国が認定した民間の認定作成事業者が、医療機関や市町村等から収集した医療情報を加工し、研究開発目的で大学、製薬企業、医療機器メーカー等に提供する制度だ。
24年4月の改正法施行により、従来の匿名加工情報(個人が特定できない形に加工した情報)に加え、仮名加工情報の活用も可能となっている。25年12月末時点で収集された医療情報は約578万人分に拡大し、利用実績は累計100件に上る。
一方、医療機関にとっての情報提供のインセンティブ不足をはじめ、患者への丁寧なオプトアウト(本人が拒否できる手続き)通知に伴う医療現場の負担、個人識別符号に該当するゲノム情報を扱えないことなどは課題と指摘されている。
■ 検討会の動向
内閣府は1月23日、「医療等情報の利活用の推進に関する検討会」の中間まとめを公表した。
検討会は、医療データを貴重な社会資源と位置付け、1次利用(患者本人の診療・治療等)を促進するとともに、1次利用のために作成・収集されたデータが2次利用で適切に利活用される仕組みについて検討を進めている。
具体的には、欧州のEHDS(European Health Data Space=欧州健康データ空間)も参考にしつつ、制度の全体像の具体化に向けて、対象となる医療等情報、医療等情報の収集方法、情報連携基盤や必要となる共通識別子、患者の適切な関与のあり方――などについて議論している。
検討会は26年夏をめどに議論の整理を行い、必要な措置を明確化する。法改正が必要な場合は、27年の通常国会への法案提出を目指す。
【産業技術本部】
