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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2026年4月2日 No.3724 最新の台湾情勢と日台関係 -第53回東亜経済人会議 事前勉強会を開催/東亜経済人会議日本委員会

谷崎氏

経団連の東亜経済人会議日本委員会(飯島彰己委員長)は、3月11~13日の第53回東亜経済人会議に先立ち同月4日、東京・大手町の経団連会館で事前勉強会を開催した。日本台湾交流協会の谷崎泰明理事長から、台湾の政治経済情勢等について聴くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ 台湾情勢と日台関係

台湾では、長らく国民党が政治の中心を担ってきたが、2016年の総統選挙で民進党の蔡英文氏が当選して以降、24年には同党の頼清徳氏が後任となり、台湾で初めて3期連続で同一政党が政権を担うこととなった。

もっとも、頼政権は厳しい政権運営を強いられている。一院制の立法院では、全113議席のうち民進党は51議席にとどまり、最大野党の国民党がこれを上回る52議席を有する。8議席を有する第3党の民衆党がキャスティングボートを握っており、立法院ではねじれが生じている。

このため立法院での審議は難航しており、特に予算案を巡って与野党の対立が激化している。

こうした膠着状態を打開するため、25年夏には国民党議員31人に対する罷免投票が試みられたが、いずれも成立せず、頼政権にとっては支持率低下につながる打撃となった。国民党では、両岸関係の回復を公約に掲げる親中路線の鄭麗文氏が党主席に就任した。

民主政治が定着している台湾では、3割以上が無党派層とされる。26年11月に地方選挙を控えるなか、野党にとっても立法院における否決一辺倒の姿勢はマイナスに働く可能性がある。このため、今後は何らかの形で膠着状態が緩和に向かう可能性も指摘されている。

台湾経済は好調を続けており、25年の実質GDP成長率は8.68%に達した。台湾政府による企業へのインセンティブ提供等を背景に、対中輸出依存度は減少傾向が続いており、中国向け輸出の割合は20年の約43%から25年には約26%まで低下している。

日台関係は総じて良好だ。25年の訪日台湾人数は、人口の約4分の1に相当する約670万人に達し、訪台日本人数も回復基調にあるなど、人的交流は拡大している。

■ 両岸関係と米国の動向

国民党政権時には中台間で一定の交流が行われていたが、16年の民進党政権発足以降、事実上の没交渉状態にある。こうしたなか、中国は台湾周辺で軍事演習を繰り返しているほか、台湾を国家として承認する国も相次いで減少しており、台湾社会に対する心理的圧力が強まっている。

頼総統は25年10月の双十節演説において、26年度の防衛予算をGDP比3%に引き上げ、30年までに5%まで増額する方針を示した。米国は、台湾の防衛費増額と引き換えに、台湾に対して約1.7兆円規模の武器売却を発表したものの、トランプ米大統領の訪中終了まで留保されているようだ。

中国が台湾に対して軍事行動を起こす可能性を考える際には、(1)意思(2)能力(3)国際環境――の3要素が必要とされる。これに当てはめると、中国は台湾統一の意思を持ち、軍事能力の面でも著しく増強しつつある。

一方、国際環境の面では米国の出方を慎重に見極めている段階にある。ただし、習近平国家主席の年齢や政治的野心を踏まえると、米国の動向を見誤る可能性も否定できない。

近年の国際情勢では米国の軍事行動に対して国際社会から強い反発が生じていないことを踏まえると、台湾海峡を巡る情勢は楽観できない状況だ。

【国際協力本部】

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