金杉大使
経団連は3月11日、東京・大手町の経団連会館で中国委員会(永井浩二委員長、島村琢哉委員長)を開催した。金杉憲治駐中国特命全権大使から、中国の政治・経済情勢や日中関係等について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。
■ 中国情勢
3月の全国人民代表大会(全人代)では、国内政治に関して特段のサプライズは見られなかった。5年ごとに開催する中国共産党大会を2027年の秋に控え、今後は幹部人事等の準備が本格化していく見通しだ。なかでも、複数の欠員が発生している中央軍事委員会などが注目される。
経済面では、太陽光パネルや蓄電池などさまざまな製品で生産能力の過剰が生じる一方、消費や投資といった内需は減速している。こうしたなか、輸出は堅調であり、物価は下落傾向にある。
全人代では、26年の実質GDP成長率目標が4.5~5%に設定され、25年の5%前後から引き下げられたことが注目を集めた。昨年来、中国は成長の速度よりも、質の高い発展を目指す方針に切り替えている。
今回の引き下げは、過当競争の是正に向けて、現実的な目標を設定したとの分析も多い。過当競争を改善して、企業収益を上げ、消費を拡大し、さらなる企業収益向上につなげる好循環の構築を目指しているとみられている。
全人代では、未来エネルギー、量子技術、人型ロボットなどの新興産業や科学技術・イノベーションにも焦点が当たった。
中国は豊富な人材・資金を背景に社会の変化が速い。例えば25年には、人型ロボットのマラソンや運動会が開かれるなど、人型ロボットの社会実装が急速に進んだ。今ではショッピングセンターへの導入例もあるなど、短期間で大きな変化が生じている。
■ 日中関係
過去を振り返ると日中関係は起伏が大きい。コロナ禍で人の往来が途切れ、両国間のさまざまな分野で人的なパイプが細ったこともあり、現在、起伏を安定化する力は弱くなっている。
中国とは、立場の違いがあるからこそ、意思疎通を行うことが重要だ。日本政府は対話にオープンな姿勢であることを繰り返し発信している。
11月に中国・深圳でアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議が予定されており、それに先立ち関連する閣僚会議等も開催される見込みだ。こうした機会も活用しながら、建設的かつ安定的な日中関係の構築に向けて尽力していく。
【国際協力本部】
