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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2026年4月9日 No.3725 日本のエネルギー政策 -資源・エネルギー対策委員会

村瀬長官

経団連は3月3日、東京・大手町の経団連会館で、資源・エネルギー対策委員会(内田高史委員長、木藤俊一委員長)を開催した。資源エネルギー庁の村瀬佳史長官から、現下のエネルギー情勢、世界の動向、2040年に向けた日本の取り組み等について説明を聴き、意見交換を行った。概要は次のとおり。

■ エネルギー情勢と世界の動向

オイルショックを契機に資源エネルギー庁が設立されてから半世紀以上が経過したが、依然としてエネルギー自給率が低い構造的な脆弱性を抱えている。

デジタルトランスフォーメーション(DX)やグリーントランスフォーメーション(GX)の進展により電力需要は再び増加局面に入りつつあり、地政学リスクの高まりも受け、安定供給確保の重要性は一層高まっている。

世界的にも電力需要の増加が予想されるなか、各国はエネルギー政策の軸をエネルギー安全保障や産業競争力強化に変化させている。そうしたなかで米国では、テック企業による既設原子炉の活用や新型炉建設など、脱炭素電源の獲得競争が激化し、欧州でも原子力回帰論が強まっている。

■ 40年に向けた日本の取り組み

日本は25年、第7次エネルギー基本計画を決定。エネルギー安全保障に重点を置き、原子力を再生可能エネルギーと共に脱炭素電源として最大限活用する方針へ転換した。

柏崎刈羽原子力発電所や泊発電所等、既設炉の再稼働の加速に加え、40年度の電源構成として原子力で2割程度を確保することを見据え、次世代炉等の開発や設置に向けた環境整備も進める。

美浜発電所では後継機設置検討のための自主的な現地調査が開始され、これまでになかった建設部材の供給ニーズが見込まれる。再処理工場の竣工に向けた取り組みや高レベル放射性廃棄物の最終処分といったバックエンドへの対応も進める。

再エネは、地域共生やインフレによるコスト増の課題に直面している。

太陽光については、省庁横断でまとめたメガソーラー対策パッケージに基づき、事業規律強化を図るとともに、地域共生が図られたものへ支援を重点化するなど、対応にめりはりを付ける。ペロブスカイト太陽電池や次世代型地熱など国産技術の活用を強化する。

洋上風力発電については、公募制度の見直しを含む事業環境整備を行っており、再公募の実施を含め、事業の着実な実現に向けて取り組んでいく。

水素・アンモニア、合成燃料、CCS(二酸化炭素回収・貯留)など多様な脱炭素技術を組み合わせ、現実的なトランジションを図る。

脱炭素政策に関して、日本は戦略的に継続し、脱炭素を成長につなげる。GX投資を通じて産業集積を形成し、ワット・ビット連携によるデータセンターや産業の立地戦略を進めるとともに、アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)等のプラットフォームを通じ、アジアの脱炭素化に貢献しつつ成長力を取り込んでいく。

■ 中東情勢を踏まえた対応

足元で中東情勢の緊張が高まり、エネルギー安定供給への影響が懸念される。石油はホルムズ海峡への依存が9割以上であるなど中東依存が高く、供給途絶がないよう取り組む。長期化した場合に備え、状況を注視し、引き続き経済界の協力も得ながら取り組んでいく。

◇◇◇

説明後の意見交換では、(1)排出量取引制度(GX-ETS)をはじめとする環境政策の柔軟性の担保(2)環境価値へのアクセス(3)国としての地域における人材育成戦略(4)将来の原子力燃料確保の見通し――等を巡り議論が交わされた。

【環境エネルギー本部】

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