左から鈴木氏、ケレン氏
経団連の金融・資本市場委員会企業会計部会(佐々木啓吾部会長)は3月11日、国際会計基準審議会(IASB)との意見交換会を開催した。IASBのハギト・ケレン理事、鈴木理加理事から、「持分法」プロジェクトを中心としたIASBの最新動向について聴くとともに意見交換した。概要は次のとおり。
「持分法」プロジェクトは、(1)適用上の疑問点に回答することによる実務における多様性の軽減(2)IAS第28号「関連会社及び共同支配事業に対する投資」における要求事項の整理による理解可能性の向上――を目的としており、将来にわたり持分法会計を持続的に利用可能とするための改善を図っている。
プロジェクトでは、根本的な会計モデルの変更をせずにIAS第28号の適用上の疑問点を解消することを基本方針としている点について、あらためて強調したい。
IASBでは2024年9月の公開草案の公表以降、多種多様なステークホルダーと多くのアウトリーチを実施してきた。寄せられたコメントを整理すると、日本や中国が公開草案の提案(特に未実現損益の取り扱い)に総じて強く反対する意見であった一方で、欧州を含むその他法域では概ね賛同する意見が多かった。
2月のIASB会議では、各ステークホルダーからの意見の背景に対する理解が大きく進展したことが報告され、本件については即時に結論は出さず、慎重な検討を継続する方向性が示された。
今後、IASBでは、会計基準アドバイザリー・フォーラム(ASAF)等を通じて追加情報をさらに収集し、「現行維持」「公開草案の提案どおり」「代替案」――などの複数のオプションを整理し、入念に検討したうえで、最終的な判断を行うこととなる。
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持分法以外の項目については、無形資産、キャッシュ・フロー計算書、「企業結合―開示、のれん及び減損」等のプロジェクトの近況が簡潔に報告された。
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説明後の意見交換では、「持分法」プロジェクトに対して質問やコメントが集中した。IASBが提案する未実現損益を消去しない手法について、企業側からは、経済的実態にそぐわない損益が開示される点や、実現について不確実性を伴う内部取引の損益が最終損益に含まれることで財務情報としての質が低下する点など、多くの懸念の声が寄せられた。
「持分法」プロジェクトは、「持分法についての包括的な見直しは行わない」との前提のもとで、簡便なプロセスで進められたが、IASBが公開草案で実際に提案した内容は、現行の持分法会計を根本的に変更するものとなっており、IASBが採用したプロセスの妥当性について懸念する声も寄せられた。
【経済基盤本部】
