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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2026年4月9日 No.3725 改正労働安全衛生法等に関する説明会

安井氏

経団連は2月26日、東京・大手町の経団連会館とオンラインのハイブリッド形式で、改正労働安全衛生法等に関する説明会を開催した。

厚生労働省労働基準局の安井省侍郎安全衛生部長から、改正法の概要と対応のポイントを聴いた。企業の人事・総務・安全衛生担当者ら約500人が参加した。概要は次のとおり。

■ 法改正の背景

2024年の労働災害の発生状況を見ると、死亡者数が746人と過去最少となる一方、休業4日以上の死傷者数は13万5718人と4年連続で増加した。

この要因として、高年齢者の労働災害の増加が挙げられる。仕事による強いストレスが原因で精神障害を発病した事案は、24年度に1055件と過去最多を記録した。

こうした背景を踏まえ、25年の通常国会で、労働安全衛生法(安衛法)等の改正が行われた。改正法は26年4月から本格的に施行される。

■ 改正法の概要と対応のポイント

1点目は、個人事業者等に対する安全衛生対策。建設アスベスト訴訟の最高裁判所判決を受けた一連の法令改正の総仕上げとして、労働者と同じ場所で就業する個人事業者等を安衛法における保護や義務の主体と位置付けた。

主な改正内容は、(1)建設業・造船業・製造業以外の業種や業種の枠を超えた混在作業における労働災害の防止に向けた連絡調整義務の新設(2)個人事業者等自身による措置の義務化(機械等の安全確保、特別教育の受講)(3)個人事業者等の業務上災害の報告制度の新設――だ。

2点目は、職場のメンタルヘルス対策。労働者数50人未満の事業場を含む全ての事業場にストレスチェックの実施を義務化する。

円滑な制度対応に向けて「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」を策定した。「地域産業保健センター」では、高ストレス者への面接指導など、登録産業医等による産業保健サービスを無料で提供している。

3点目は、化学物質による健康障害防止対策。新たな化学物質規制の全面施行に伴い、26年4月には、(1)ラベル表示(2)安全データシート(SDS)交付(3)リスクアセスメント実施――の義務が生じる化学物質が約2900物質に拡大する。

そこで、化学物質の譲渡や提供時における危険・有害性情報の通知制度の履行を確保するとともに、事業者の営業秘密を保護する観点から、(1)通知義務違反に対する罰則の新設(2)通知事項の変更時の再通知の義務化(3)成分名ではなく代替化学名等を通知できる制度の新設――などの見直しを行った。

個人ばく露測定の精度を担保するため、一定の講習を受けた作業環境測定士による実施も義務付けた。

4点目は、高年齢者の労働災害防止。労働災害防止に必要な措置を講じる努力義務を事業者に課すとともに、この措置の適切で有効な実施を図るための指針の根拠規定を整備した。

この規定に基づき、既存のガイドラインを参考に「高年齢者の労働災害防止のための指針」を策定した。専門家によるリスクアセスメントの実施など、指針に基づく措置を講じる中小・小規模事業者は「エイジフレンドリー補助金」を活用できる。

5点目は、治療と就業の両立支援。両立促進に必要な措置を講じる努力義務を事業主に課すとともに、この措置の適切で有効な実施を図るための指針の根拠規定を整備した。

この規定に基づき、既存のガイドラインを参考に「治療と就業の両立支援指針」を策定した。両立支援に取り組む事業主は、ポータルサイト「治療と仕事の両立支援ナビ」を通じた情報提供や、「産業保健総合センター」の専門スタッフによる無料の相談対応や訪問支援等を受けられる。

◇◇◇

説明後の質疑応答では、新たな連絡調整措置の義務が生じる場面やその範囲、個人ばく露測定の義務が生じる作業場の種類、労災防止対策の対象となる高年齢者の年齢要件等について、参加者から積極的な質問が寄せられた。

【労働法制本部】

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