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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2026年4月9日 No.3725 仕事と介護の両立支援セミナーを開催 -介護離職防止の重要性や両立支援策

経団連は2月27日、「仕事と介護の両立支援セミナー」をオンラインで開催し、約170人が参加した。厚生労働省雇用環境・均等局の上田真由美職業生活両立課長、介護離職防止対策促進機構の和氣美枝代表理事、千葉銀行サステナビリティ推進部ダイバーシティ推進室の諸石侑士係長、大成建設管理本部人事部の北迫泰行人財いきいき推進室長の4人が講演した。概要は次のとおり。

■ 企業による社員の仕事と介護の両立支援に向けた実務的な支援ツール(上田氏)

労働力人口の減少や介護離職者の増加を背景に、2025年4月から施行された改正育児・介護休業法では、企業による社員の介護離職の防止対策が強化された。

企業に対して(1)研修や相談窓口設置等による雇用環境の整備(2)40歳時等の両立支援制度等に関する情報提供(3)介護に直面した社員への個別の制度周知・意向確認――が義務付けられた。

厚労省は、これらの措置の効果的な実施を促進するため、「企業による社員の仕事と介護の両立支援に向けた実務的な支援ツール」を25年7月に公表した。

支援ツールには、社員の両立支援における企業の役割や対応すべきことを明確化するとともに、両立支援に取り組む際の具体的なポイントがまとめられている。社員向けの研修資料や相談対応時のチェックリスト等の書式も掲載されている。

企業には、支援ツール等を活用しつつ、仕事と介護を両立しやすい環境整備が求められる。

■ 企業における仕事と介護の両立支援の標準化~介護を「リスク」から組織の「成長エンジン」へ転換する(和氣氏)

30年には、団塊ジュニア世代が60代に突入することで、熟練層の社員の多くが親または配偶者の介護に直面する見込みだ。介護離職の発生により、業務負担が増した周囲の社員も流出する恐れがあることから、企業は経営資産の保全の観点から社員の介護離職防止に取り組む必要がある。

両立支援には、厚労省のツールを活用し、属人性を排した持続可能な体制を整備することが重要だ。担当者は研修を受講し、両立支援の意義とともに、法的義務と会社独自の制度の線引きを明確に理解することが求められる。

こうした体制のもと、企業は社員の家庭の事情を毎年確認し、各種制度により両立支援を行うべきだ。

今後は、両立支援体制の整備だけでなく、社員の介護経験を組織の資産として活用し、制約のある社員を基準とした業務の再設計を行うことが重要だ。属人性の排除や評価制度の刷新等により、組織の自走を促進するリーダーを育成することが求められる。

■ 千葉銀行の社員の仕事と介護の両立支援に向けた取り組み(諸石氏)

千葉銀行は、多様な意見の掛け合わせによってイノベーションを起こすべく、ダイバーシティ経営を推進している。その一環として、社員が仕事と介護を両立できるよう、さまざまな支援制度を導入している。

社内外に相談窓口を整備しているほか、介護休業については、「両立に向けた準備期間」として社員へ意識付けるため「介護準備休業」と名付け、通算1年間の利用を可能とした。

VR(仮想現実)ゴーグルを利用して介護当事者の目線を体験する研修や、全職員向けにeラーニングも実施。仕事と介護の両立支援制度を利用しやすい風土を醸成している。

自治体と連携し、介護に関する地域課題の解決に向けた取り組みも進めている。職員だけでなく地域住民も対象としたセミナーを開催し、介護に関する基礎知識の理解促進を図っている。

■ 大成建設の社員の仕事と介護の両立支援に向けた取り組み(北迫氏)

大成建設は、仕事と介護の両立支援が男女を問わず全社員の活躍に寄与するとの考えから、10年から介護離職防止施策に取り組んでいる。

基本方針として、介護はそれぞれのケースにおいて個別性が高く、個々の介護支援を行うことは難しいため、各種制度の整備とともに、社員への適時適切な情報提供に注力している。

具体的には、(1)40歳になった社員や管理職社員に両立支援冊子を配付し、社内の両立支援制度を周知(2)帰省時の家族間の話し合いを促すため、長期休暇前の休日にオンラインでの介護セミナーを開催(3)上司や人事担当者のほか、社外の専門機関へ介護に関する相談が可能な体制を整備――に取り組んでいる。

企業は管理職に多い介護離職を経営リスクの一つと捉え、社内の実態を把握しつつ、両立支援に取り組むことが重要だ。

【労働法制本部】

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