左から竹増氏、浜田氏、有馬氏
経団連は3月9日、東京・大手町の経団連会館で、国連が定める国際女性デー(毎年3月8日)の記念イベントとして映画「女性の休日」の上映会およびスペシャルトークセッションを開催し、会員から約400人が参加した。
同映画は、1975年に、アイスランドの全女性の90%が仕事も家事も一斉に休み、国が機能不全状態に陥った「女性の休日」を描いたドキュメンタリー。女性の社会的役割を可視化した歴史的運動の軌跡を伝えた作品だ。
この出来事がアイスランド社会を突き動かし、今や世界一のジェンダー平等先進国となったといわれている。日本社会の変革へのヒントが詰まった内容だ。
上映後のスペシャルトークセッションには、ジャーナリストの浜田敬子氏、ローソンの竹増貞信社長、日本放送協会(NHK)メディア総局の有馬嘉男特別主幹(「新プロジェクトX」キャスター)が登壇した。
浜田氏がモデレーターを務め、映画が示す「小さな行動が社会を動かす」視点から、日本社会の課題と展望について議論を深めた。トークセッションの概要は次のとおり。
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浜田氏は、日本のジェンダーギャップ解消の低迷に言及。賃金やケア負担の不均衡を共有課題として可視化し、女性が一斉に“休む”象徴的な連帯で企業や行政を巻き込んだアイスランドの事例が示す教訓を指摘し、男性リーダーとの対話の意義を述べた。
竹増氏は、映画に登場する女性たちのしなやかさと行動力に強い感銘を受けたと述べ、ローソンが継続して進めてきた働き方改革の背景を紹介した。
これまで女性が少数だったスーパーバイザー(SV)職などの見直しを進める過程で、「実は男性にも過度の負担を強いていた働き方」が多かったと気付いたという。業務や制度を丁寧に改善してきた結果、多くの女性SVが育ち、女性支店長、女性支社長も誕生するなど、昇進ルートは着実に広がっていると語った。
女性が管理職を目指す際の課題については、企業側が思い込みで制度を設計するのではなく「まずは本人の声を丁寧に聞くこと」が重要と強調。多様な価値観を尊重し、挑戦したいと考えたタイミングで誰もが前向きに挑戦できる環境整備が必要だと述べた。
有馬氏は、番組制作の観点から日本に残る構造的課題を指摘。
技術開発やインフラ整備など、従来男性が中心となってきた分野のドキュメンタリー番組では、女性が意思決定者としては描きにくい現実がある一方で、欧州やシンガポールでの取材経験を踏まえ、家事・育児負担の軽減や社会制度の違いが女性の就業継続を大きく左右していると述べた。
日本では家事時間の偏りが依然として大きいことを課題として挙げ、これらの構造的要因が、女性の労働参加やキャリア形成に影響しているとの見解を示した。
議論の終盤で有馬氏は「男性が家事を全て担う日」を社会的ムーブメントとして提案。浜田氏も、企業や職場単位での実施などを通じて、その動きが広がる可能性があるとの考えを示し、参加者から共感の声が上がった。
最後に竹増氏は「自分が嫌なことは他の人も嫌だという当たり前の感覚を持つこと、そして非常識と思われるほどの挑戦を重ねることが変革の第一歩」と述べ、参加者へ行動の重要性を呼びかけて締めくくった。
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【ソーシャル・コミュニケーション本部】
