経団連は4月14日、提言「育成から飛躍へ:スタートアップ育成5か年計画の先を見据えた基本戦略」を公表した。
経団連は、提言「スタートアップ躍進ビジョン」(2022年3月公表)で、27年までにスタートアップの数・成功のレベルを10倍にする目標「10X10X」を掲げた。
この目標は政府の「スタートアップ育成5か年計画」に組み込まれ、施策の後押しも受けて裾野は広がっている一方、高さは伸び悩んでいる。エコシステムの活性化に一層取り組むことが不可欠だ。
そこで、5か年計画の先を見据えた中長期的な基本戦略、基本戦略を踏まえて現行の5か年計画を強化するために至急取り組むべき施策について、提言をまとめた。概要は次のとおり。
■ 5か年計画の先を見据えた基本戦略
三つの基本戦略を掲げている(図表参照)。
第一に、引き続き集中的・継続的に政策が展開されるよう、5か年計画の達成状況のレビューを踏まえ、「第二次5か年計画」を策定することが重要だ。
第二に、グローバルへの飛躍を支える政策とエコシステムが不可欠だ。高さが伸び悩む要因として、海外からの大型資金の調達不足や、海外市場を狙うスタートアップが少ないことなどが指摘されている。
そこで、起業当初からグローバルを目指す野心を持ち、資金調達と市場獲得の両面でグローバルに戦えるスタートアップを多く生み出すことに重点を置くべきだ。その際、海外を拠点に起業・投資を行う日本人や、日本を拠点に活動する外国人など、国内外を問わずに支援対象とすることが重要だ。
第三に、防衛、宇宙、防災など公共性が高い一方、市場原理のみによる需要創出やスケール拡大が難しい分野を中心に、集中的・長期的な公共調達を通じて政府が成長を後押しすべきだ。
■ 現5か年計画の強化
第二次5か年計画を待たずに至急取り組むべき施策を次の三つの切り口からまとめている。
1.シーズの掘り起こし強化
経団連は提言「Science to Startup」(24年9月公表)で、大学の知を外部から掘り起こすイグニッションチームの組成を提言した。専門能力を備えたグローバル水準のチームを想定しており、国内ベンチャーキャピタル(VC)などが国内外から人材を獲得するに当たり、政府が呼び水的に資金援助を行うべきだ。
2.事業化
足元で1.5%程度にとどまっている公共調達におけるスタートアップ比率について、5か年計画目標の3%を至急達成し、躍進ビジョンで掲げた10%へと目標を引き上げるべきだ。
そのためには、複数年契約やアジャイル型の調達など、スタートアップフレンドリーな取り組みを省庁横断的に進めることが必要だ。
技術実証後、社会実装の際に壁に直面するケースも多いため、スタートアップの研究開発を支援するSBIR(Small Business Innovation Research)制度に、事業化に向け、民間からの資金供給を接続させる仕組みを整備すべきだ。
その他、関係省庁が連携を強化し、迅速かつ大胆な規制制度改革を推進することも重要だ。
3.資金
海外からの大型の資金供給を拡大すべく、政府によるファンドへのマッチング拠出など、分かりやすく大胆な経済インセンティブを用意し、海外VCを積極的に誘致すべきだ。
新規公開株式(IPO)以外の出口の多様化も不可欠で、オープンイノベーション促進税制の積極的な活用等により、大企業等によるM&Aを一層活性化していく必要がある。
◇◇◇
経団連は、大企業側のアクションを一層推進するとともに、本提言で示した戦略に基づき、27年春をめどに、第二次5か年計画に向けた具体的な提言を取りまとめる予定だ。
【産業技術本部】
