平井知事
経団連は4月3日、東京・大手町の経団連会館で人口問題委員会(永野毅委員長、井上和幸委員長、清水博委員長)を開催した。鳥取県の平井伸治知事が「人口減少社会への挑戦」と題して県の取り組みについて説明し、意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。
■ 人口減少の状況
国全体が人口減少の危機にひんしているなか、鳥取県も人口減少に歯止めがかからない状況が続いている。各種対策により、過去の推計値より上振れして推移しているものの、足元の52.5万人(2025年)から50年には40.6万人まで減少すると推計されている。
人口減少には、社会減と自然減の両方の要因がある。自然減への対応としてさまざまな施策を実施した結果、県内の合計特殊出生率(24年)(注)は1.43と全国で3位の水準を保っている。
転出入に伴う社会減の対応として、全国に先駆けて07年から移住定住施策を開始した。子育て環境の良さなどから、特に40代以下の若者・子育て世代の移住が好調だ。
一方で若者世代が進学や就職のタイミングで県外に転出する傾向が顕著であり、転出超過が継続している。
■ 地域未来戦略と人口戦略の推進
鳥取県にはさまざまな特性や強みを持った産業分野がある。
政府は現在、「地域未来戦略」を政策の柱の一つに掲げ、地域ごとの産業クラスター形成に取り組んでいる。鳥取県は地域未来戦略と人口戦略を一体的に展開するため、「人口戦略推進本部」を立ち上げた。
デジタル化と生成AIの進展による就業構造の変化を見据え、地方が人材の受け皿となるべく、産業振興と併せて、地方への移住・定住の促進、高度専門人材の育成を通じ、人口減少の解決につなげていこうと取り組んでいる。
これまで産学官連携によるイノベーションの推進、スタートアップへの支援等を行ってきた。都市部の高度ビジネス人材を副業・兼業で県内企業に誘致する取り組みも進めており、約1500人のマッチングが成立している。大企業の人材が副業を通じて、新製品の開発に携わるなどして、地元企業に大きなメリットをもたらしている。
■ 少子化・人口減少への対策
わが国の少子化の大きな要因の一つに婚姻率の低下がある。この課題に対し、鳥取県は婚活支援センターの設置、民間マッチングアプリと連携したイベントなどの開催、ボランティア仲人を設けるなどして、出会いの場づくりに取り組んでいる。
鳥取県は子育てを支援するため、保育料の軽減や無償化を全国に先駆けて実施した一方、特に0歳児については保育士の不足などもあり、保育所での受け入れが難しい場合があった。
そこで保育現場を預かる市町村の声をしっかり聴き、子育て支援の対象を広げて保護者の選択肢を増やす観点から、全国で初めて在宅で育児する世帯にも月3万円を給付する仕組みを導入した。育児休業の取得が促されるなかで在宅での育児を希望する親のニーズと合致し、奏功した一例と考えている。
鳥取県は人口減少への対策として、若者の社会への参画を重視している。高校生から30代の社会人が県へ政策を提案する「とっとり若者活躍局」を設置したほか、県庁内では知事直轄の若手組織「とっとり未来創造タスクフォース」が人口減少対策などの政策を立案している。
この他、鳥取県では、多様で柔軟な働き方に対応するため、条例を改正し、全国で初めて公務員の「短時間勤務制度」を創設した。女性管理職の登用なども進めている。26年の「都道府県版ジェンダー・ギャップ指数」では、行政分野で全国1位を獲得した。
(注)15~49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもの(1人の女性がその年齢別出生率で一生の間に産むとしたときの子どもの数に相当)
【経済政策本部】
