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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2026年5月21日 No.3729 提言 Society 5.0時代のヘルスケアⅤ -ヘルスケア・データスペース構築を

経団連は5月19日、提言「Society 5.0時代のヘルスケアⅤ~国民への価値還元を実現するヘルスケア・データスペースの構築」を公表した。概要は次のとおり。

■ 課題認識

人生100年時代において、国民のウェルビーイング向上と持続可能な医療・社会保障制度の両立には、医療・健診・介護等に関するヘルスケアデータの適切な利活用が不可欠だ。

高齢化の進展、人口減少、医療・介護人材の不足が深刻化するなか、限られた供給能力のもとで質の高い医療・介護の提供体制を維持するためには、データを通じて医療の質向上と効率化を同時に実現することが求められる。

他方、わが国では、診療等に用いる1次利用データと、研究開発や政策立案等に用いる2次利用データが、制度・運用・技術の各面で分断されており、医療現場で日々生み出されるデータが、より良い医療の提供や新たな価値創出に十分つながっていない。

■ グランドデザインとしてのヘルスケア・データスペース

提言では、ヘルスケアデータを国民の利益に資する「社会的資産」と位置付け、多様な主体の間で信頼性の高い形で連携・活用する基盤として、「ヘルスケア・データスペース」の構築を求めている。

これは診療の質の向上や業務負担の軽減といった1次利用の高度化と、創薬や公衆衛生といった2次利用とを一体として支え、その成果を再び患者・個人や医療現場に還元することで「価値創出の好循環」を実現する社会基盤だ(図表参照)。

(図表のクリックで拡大表示)

データを集めること自体が目的ではなく、そこから生まれる成果を国民に広く還元し、より良い医療、研究開発の促進、公衆衛生や政策の高度化につなげていく点が、この構想の要諦だ。

■ 具体策

その実現に向けた具体策として、まず内閣官房の医療DX推進本部を司令塔とし、省庁横断で一体的に推進する戦略および工程表の策定を求めている。

ヘルスケアデータの取扱主体や利用目的、対象データ、監督権限等を明確化する包括的な新法の整備や、データ利用の受け付け、審査、監視・監督等を一元的に担う公的管理主体の創設が必要だとしている。

共通IDや標準コードの整備等による相互運用性の確保、安全で高度な解析環境の構築を進めるとともに、国民に対しては研究成果や社会還元の状況を分かりやすく示し、医療現場に対しては事務負担の軽減や診療支援の高度化など、具体的な価値還元を実現すべきとしている。

患者団体、学界、経済界、関係省庁等が参画する官民協議会を設置し、運用改善を機動的に進めることも重要だ。

◇◇◇

経団連は、新たな法制度の整備を含め、政府で具体的な検討が進むよう働きかけを継続する。国民への価値還元を起点とした持続可能なヘルスケア・データスペースの構築にも、引き続き積極的に貢献していく。

【産業技術本部】

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