経団連は5月19日、「会社法制(株式・株主総会等関係)の見直しに関する中間試案に対する意見」を公表した。
法務省の法制審議会会社法制(株式・株主総会等関係)部会では、2025年4月から会社法改正の検討が進められている。今般、株式の発行、株主総会、企業統治等のあり方に関する規律の見直し等について「中間試案」がまとめられ、パブリックコメントが実施された。
経団連は、デジタル化の進展やグローバル競争の激化など企業を取り巻く環境が大きく変化するなか、日本企業の国際競争力の強化、ひいては日本経済の持続的な成長の実現が重要との観点から意見をまとめた。概要は次のとおり。
1.株式発行のあり方
株式の無償交付の対象範囲を使用人等に拡大する規律については、株主総会決議を不要とするA案に賛成する。株主総会決議を必要とするB案および両案の併存案には反対する。A案であれば取締役会決議のみで実施でき、人材確保等に資する一方、B案は現行より規制強化となる可能性がある。
株式交付制度については、子会社株式の追加取得を一般的に株式交付の対象とするA案に賛成する。一定の要件を満たした場合に限るB案には反対する。親子会社関係の強化に向けて、柔軟な追加取得を可能とすべきだ。
2.株主総会のあり方
バーチャルオンリー株主総会について会社法上で規律を設けるに当たっては、緊急時も見据えて、全ての企業が迅速に利用できるよう、定款の定めを不要とすべきだ。バーチャルオンリー株主総会を実施する際に保存する通信記録等の内容は、必要最小限にすべきだ。
実質株主確認制度について、株式会社が実質株主を確認する際に、仲介機関が株式会社に実質株主の情報を提供しない場合等には、過料に加えて株式の議決権停止の制裁を認めるべきだ。過料では抑止力が不十分であり、海外の名義株主等に科すことが困難なためだ。
事前に議決権が行使された場合の株主総会の決議の合理化については、事前の議決権行使により決議要件を満たした場合、株主総会決議があったとみなす制度を創設するA案に賛成する。事前の議決権行使により、決議の成立が事実上確定しているケースが大半であり、株主総会運営の負担軽減につながる。
株主提案権の議決権数の要件の見直しについては、300個要件を廃止するA案に賛成する。個数を引き上げるB案には反対する。投資単位の引き下げで個数要件を満たしやすくなったため、株主提案の件数が増え、それに対応する企業の負担も増している。会社の規模や種類を問わず一律の個数要件とすることに合理性はない。
3.企業統治のあり方
指名委員会等設置会社における指名委員会の権限の見直しについては、現行の3種類の機関設計の間で、各社の自由な選択が維持されることが重要であり、立法事実を整理すべきだ。
責任限定契約制度の見直しについては、責任限定契約の相手方に、業務執行取締役等である取締役および執行役を加えることに賛成する。
事業報告等および有価証券報告書の開示の合理化については、全情報を含む有価証券報告書を提出した場合は事業報告の作成を不要とすることに賛成する。
【経済基盤本部】
