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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2026年5月21日 No.3729 第7期科学技術・イノベーション基本計画 -内閣府から聴く/イノベーション委員会

井上氏

経団連は4月9日、東京・大手町の経団連会館でイノベーション委員会(安川健司委員長、稲垣精二委員長、田中孝司委員長)を開催した。

内閣府科学技術・イノベーション推進事務局の井上諭一統括官から、第7期科学技術・イノベーション基本計画(以下、第7期基本計画)について、説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ 時代の変化におけるわが国の立ち位置

わが国は高度成長期を経た後、第3次産業革命(いわゆるIT革命)を先導できず、体制の立て直しがままならないなか、第4次産業革命に突入している。新しい時代を切り開いていくには、それにふさわしい能力を持つ人材の育成が急務であり、産業や教育とともに、社会構造、働き方の変革が求められる。

その際に考慮すべきは、安全保障を含む社会構造を一変させる可能性を持つ「AIの深化」と、基礎科学力がビジネスに直接結び付く「科学とビジネスの近接化」の二つだ。

■ 科学技術・イノベーションを巡る潮流の変化

同時に、科学技術・イノベーションを巡る潮流も大きく変化している。

具体的には、新たな知の創出は卓越した個人の能力から組織力によるところが大きくなっていること、優れた科学技術を社会実装までやり切るために必要な一体的な政策対応が求められていること、国の安全保障政策において科学技術・イノベーションの位置付けが大きくなっていることだ。

他方、近年、わが国の質の高い論文の数(トップ10%補正論文数)は減少し、国際的な地位が低下していることに加え、研究テーマの硬直化や、新しい「知」の創出を担う大学に対する研究開発費およびわが国全体としての研究開発投資も低調と指摘されている。

■ 第7期基本計画のポイント

これらの状況を変えるには、科学技術・イノベーションを駆動するシステムを、縦割り・自前主義からレイヤー構造へと抜本的に再構築する必要がある。

第7期基本計画に具体的な施策として、次のとおり盛り込んだ。

まず「カネ」の面では、挑戦とイノベーションを支える投資と成果の好循環を目指し、基盤的経費は物価・人件費の上昇等も踏まえつつ、着実に確保する。

加えて研究大学群等では、挑戦的な研究領域への積極的な投資の支援、総合科学技術・イノベーション会議を司令塔とした、関係省庁との連携による国家戦略技術領域に対する一気通貫の支援等を展開していく。

「ヒト」の面では、高度な専門性を持った人材が行き交う環境を構築するため、大学のマネジメント改革の推進、高度専門人材が組織を超えて活躍できる仕組みの導入、研究者や高度専門人材予備軍と位置付けられる博士人材の育成、国際研究者ネットワークの拡大・強化を図る。

「モノ・情報」の面では、知と価値を創出する共用基盤の高度化を図るため、研究機器を、個人所有から組織所有、そして組織を超えた所有へと転換し、民間企業やスタートアップへの開放を進める。

さらに研究機器から得られるアカデミックデータは一括して体系的に保存し、データ基盤はオールジャパン体制での一括管理へと転換していく。

最後に官民合わせた研究開発投資目標については、第6期基本計画を大幅に上回る180兆円という極めて野心的なものを掲げた。

今後、科学技術を国力の源泉とすべく、基礎研究から人材育成、社会実装、産業競争力の強化に至るまで、官民の連携を一層密にしながら取り組んでいく。

【産業技術本部】

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