村山氏
宮本氏
経団連は4月23日、都内で雇用政策委員会(内田高史委員長、山下良則委員長)を開催した。
厚生労働省の村山誠職業安定局長と宮本悦子人材開発統括官が、職業安定行政と人材開発行政における現状と今後の課題をテーマに講演した。
その後、報告書「若年社員の活躍推進における五つの課題と対応策」(5月19日公表)について審議し、了承した。
厚労省の講演の概要は次のとおり。
■ 職業安定行政の現状と課題
1.現在の雇用情勢と今後の労働市場
雇用情勢は、求人が求職を上回る状況が続き、緩やかに持ち直している。一方、中東情勢によるコスト上昇等が企業収益を圧迫する可能性も懸念され、雇用への影響に注視が必要だ。
労働力率は、女性や高齢者の労働参加の進展によって過去の想定を上回る水準で推移している。中高年層でも転職後の賃金が増加した者の比率が上昇するなど、労働移動を巡る状況に変化が生じている。
AI等の新たなテクノロジーは、定型業務を代替するとみられていたが、生成AIも登場した近年、その影響については、生産性や仕事の質の向上という補完的な側面も併せて議論されている。こうした変化への対応が重要な課題だ。
2.職業安定行政の対応
労働者の希望に応じた円滑な労働移動の実現に向け、労働市場に関する情報提供の充実や、マッチング機能の強化等に取り組んでいる。例えば、ポータルサイト「みんなの労働ナビ」の整備等により、情報連携の強化を進めている。
医療・福祉分野での人材不足に対しては、全てのハローワークで求人充足プロジェクトを実施するなど支援を強化している。
有料職業紹介事業のさらなる「見える化」や雇用保険制度の見直しの検討のほか、高齢者、外国人、障害者など多様な人材の活躍促進に向けた各施策も着実に進めていくことが重要だ。
■ 人材開発行政の現状と課題
1.人材開発行政を取り巻く状況
日本の労働生産性は、時間当たり、1人当たりともに上昇している。しかし、中小企業の伸びは相対的に小さいうえ、時間当たり労働生産性は国際的に低水準にある。
日本企業が労働者のOFF-JT(注)や自己啓発支援に支出した費用はおおむね横ばい(2024年度調査で労働者1人当たり平均1.9万円)で推移しており、他の先進国と比べ(対GDP比)、低い水準だ。
人口減少に伴って労働力の供給が制約されるなか、人材開発や人的投資等を通じて労働生産性を高めることが重要だ。
2.人材開発施策の今後の取り組み
労働生産性を高め、「成長型経済への移行」を確実なものとするため、産業界等と連携して、成長分野等に必要な人材の育成と確保に向けたさまざまな取り組みを推進する。
(1)戦略的な職業能力開発支援の推進
地域の実情やニーズに即した公的職業訓練の設定・実施、その効果の把握・検証などを行う地域職業能力開発促進協議会(都道府県単位)の機能を強化する。
労働者や企業、教育機関など、社会全体でリスキリングの重要性や必要性の認知・理解を促進し、さまざまなレベルでの取り組みや機運醸成を図るため、国民運動として活動を展開する。(2)労働市場でのスキルや処遇等の「見える化」
求職者等の就職活動や企業の採用活動等を支援するために厚労省が運営している職業情報提供サイト「job tag」の一層の充実を図る。
職業能力評価制度として24年3月に創設した「団体等検定」(要件を満たす民間検定を厚労大臣が認定)について、積極的な広報とその活用支援などにより、整備・活用を進める。(3)技能者の育成と技能振興
熟練技能の知見等の継承や、顧客ニーズ等に対応する知識や技能の習得のための体制を整備する。
28年に愛知県で開催される技能五輪国際大会を契機に、技能の振興とその魅力の発信を推進していく。
(注)通常の仕事を一時的に離れて行う教育訓練(研修)
【労働政策本部】
