マクドウェル氏
河村氏
経団連のアメリカ委員会(澤田純委員長、赤坂祐二委員長、森田隆之委員長)は4月23日、東京・大手町の経団連会館で懇談会を開催した。米国のロビー会社チェックメイトのチェス・マクドウェル代表、同社日本法人の河村建夫会長(元衆議院議員)から、米国の外交・通商政策の動向について説明を聴いた。概要は次のとおり。
■ ロビー活動の重要性
米国でロビー活動は、企業が政策形成に関与するために不可欠な手段だ。企業が政策決定に関与しなければ不利な立場に置かれかねず、主体的に関与することが重要だ。
2025年、当社は初の海外拠点を東京に設け、日本企業による対米政策対応や関係構築を支援する体制を整えた。
■ トランプ政権下の政策環境
トランプ政権のもと、ワシントンDCでの意思決定構造は大きく変化し、従来の議会主導から大統領主導へとシフトした。政策判断の根底には一貫してアメリカ・ファースト(米国第一主義)の考え方があり、関税や外交、安全保障を含む幅広い分野でその姿勢が貫かれている。
トランプ大統領の発言は、真剣に受け止めるが言葉どおりには受け取らないこととし、彼の発言の意図や背景を読み解くことが重要だ。
■ 関税政策の継続と企業の対応
関税政策は今後も継続する可能性が高く、企業はその前提で戦略を構築する必要がある。米国の供給網上の制約や国内産業への影響など、合理的な理由がある場合には例外措置が認められるケースもあるが、基本的には関税は政策手段として維持されるだろう。
そのため、現在の制度の変更や関税撤廃を前提にした対応は現実的ではない。トランプ大統領は関税を望んでおり、形を変えて関税は続く。企業は政策環境の変化を前提に柔軟に適応することが重要だ。
政策は固定的なものではなく、司法判断や議会動向に応じて形を変えながら継続する可能性がある。短期的な変化に一喜一憂するのではなく、中長期的視点での対応が必要だ。
■ 米国政治の見通し
米国の政治動向について、従来、中間選挙は与党に不利とされてきたが、足元では必ずしもそのとおりにならない可能性がある。共和党はトランプ大統領を中心に結束を維持しており、いわゆるMAGA(Make America Great Again)路線は今後も継続する。
次期大統領選でもトランプ大統領の支持が候補者選定に大きな影響を及ぼす可能性がある。彼の影響力は引き続き米国政治の中核にある。
米国の実態を把握するうえでは、ワシントンDCの政策コミュニティやメディア報道だけでなく、一般の有権者の意識や行動を把握することが重要だ。米国では都市部と地方で有権者の認識に大きな乖離があり、企業は現場感覚に基づく情報収集が不可欠だ。
■ 日本企業への示唆
日本企業は、ワシントンDCに存在していることが重要だ。ワシントンDCでプレゼンスを持ち、関係を構築すべきだ。そのうえで、短期的な政策対応にとどまらず、将来の政策決定者を見据えた中長期的な関係構築が必要だ。政権や閣僚の交代を前提に、幅広い人的ネットワークを構築することが競争力確保につながる。
日米間では、米国の対中戦略を背景に、エネルギー、防衛、製造業などの分野で日本企業にとって新たなビジネス機会が拡大している。チェスのように戦略的な対応が必要だ。
【国際経済本部】
