経団連は4月10日、都内で日本ベトナム経済委員会(藤本昌義委員長、上野真吾委員長)を開催した。
外務省の北郷恭子アジア大洋州局兼南部アジア部参事官、経済産業省の小見山康二大臣官房審議官(通商政策局担当)から、ベトナムの政治・経済情勢や日本との関係について説明を聴き、意見交換した。説明の概要は次のとおり。
■ ベトナムの政治情勢と日本との外交関係(外務省)
ベトナムは共産党による一党支配体制のもと、トップ4(党書記長、国家主席、首相、国会議長)を中心に19人(現在の政治局員数)から成る政治局員による集団指導体制で、安定した政権運営を図ってきた。
経済面では、ドイモイ(刷新)を通じて、構造改革や国際競争力強化を推進してきた。
2026年1月の第14回党大会でトー・ラム書記長が再任され、4月の国会で国家主席を兼任することとなった。
ラム氏はベトナム民族が飛躍する新たな発展の時代を意味する「新しい時代」を掲げ、結党100周年である30年の上位中所得国入り、建国100周年である45年の高所得の先進国入りを最優先事項としており、科学技術の活用や戦略的インフラなどの推進を原動力としている。
対外関係では米国、中国、ロシア等とも関係を構築する全方位外交を展開し、包括的戦略的パートナーシップを拡大している。
日本との外交関係は23年に包括的戦略的パートナーシップへ格上げされた。ベトナムにとって日本は第3位の投資国、第4位の貿易国であり、今後、経済成長を実現するなかで日本のプレゼンス向上が期待される。
日本にとってベトナムは地理的に要衝に位置し、自由で開かれたインド太平洋(FOIP)実現の要となる重要なパートナーだ。日本が少子高齢化に直面するなか、ベトナム人は在留外国人数第2位となるなど存在感を増している。
■ ベトナム経済の現状と日本企業への期待(経産省)
ベトナムは、26~30年の実質GDP成長率を年10%以上とする目標を掲げており、25年の実質GDP成長率は前年比8.02%の伸びを記録した。
特に鉱工業、建設業、サービス業の成長率が高く、今後も成長が期待される。コンピューター電子製品をはじめとする25年の輸出入額は過去最高を記録し、対米輸出、対中輸入は共に前年比約30%増加した。
日系企業の拠点数は製造業を中心に2543(24年時点)で、その多くが北部のハノイ、南部のホーチミンにあり、サプライチェーンの拠点となっている。ベトナムへの海外直接投資の累計額は韓国が第1位で、日本は第3位だ。
ベトナム政府は政策目標として、デジタル・グリーン経済、製造業・加工業の強化等を掲げている。特に半導体や電気自動車(EV)産業では、税制優遇や規制などの影響もあって、大手のFPTやビンファストが急成長するなど、産業の高度化が加速している。
ベトナムとの政府間では「日ベトナム産業・貿易・エネルギー協力委員会」の開催を通じ、サプライチェーンの強靭化、重要鉱物の確保に向けた協力のほか、洋上風力、原子力、液化天然ガス(LNG)分野におけるエネルギー協力等について意見交換し、共同閣僚声明を発出している。
ベトナムは、人材の質が高い一方でまだ人件費が低く、エネルギー分野や若年層中心の内需市場にも成長余地が大きい。事業展開先として有望であり、経済関係の深化が期待される。
【国際協力本部】
