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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2026年6月4日 No.3731 中東・イラン危機がもたらす国際秩序の再編 -アラヴィ・ロンドン大学助教授から聴く

アラヴィ氏

経団連は4月23日、東京・大手町の経団連会館で、中東・イラン・湾岸情勢に関する懇談会を開催した。ロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)のアリー・アラヴィ人文学部助教授と東京大学先端科学技術研究センターの池内恵教授から、説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ 中東と世界の新秩序

イランは、中央アジア、南西アジア等のユーラシアの回廊の極めて重要な要衝にあり、石油や鉱物資源、農業資源が豊富で、優れた人的資源を抱え、高い製造能力を持つ重要なビジネス拠点だ。BRICS、上海協力機構(SCO)、石油輸出国機構(OPEC)等の国際枠組みにも加盟している。

今般の戦争は、中東の勢力構造を再編し、新たな地域秩序を形成しつつある。従来、この地域はサウジアラビアを中心とする湾岸協力会議(GCC)、イラン、トルコ、米国が並立する多極構造にあった。だが現在、イランと米国を軸とする二極構造に移行しつつある。

日本、韓国、中国や湾岸諸国にとって重要なホルムズ海峡の動向は、イランと米国の意思に委ねられている。今回の危機で湾岸アラブ諸国では、1200億~1940億ドル規模の生産損失が見込まれており、重心がビジネスから安全保障へと移行するだろう。

国際秩序も理念に基づくロマン的同盟から、取引的な関係へ移行している。相対的で予測可能だったものが戦略的で不確実なものへ、国家間の固定的なブロックは柔軟な連携へと変化している。それに伴い、国連等の国際機関の影響力は低下し、国家の交渉力が重要になっている。

■ 今後の行方

現下の中東情勢の行方について、三つのシナリオを提示する。

第一は、イランの現実主義派と米国との外交交渉が合意に至り、対イラン制裁の緩和と地域の事実上の分割が進み、米国が優位に立つシナリオだ。日本企業にとって新たなビジネス機会が生まれる。

第二は、停戦と衝突の循環が続くシナリオだ。ホルムズ海峡の安全は確保されず、コストの上昇、債務の増大、エネルギー供給への深刻な影響が生じる。

第三は、突発的で大規模な衝突の結果、イランが親米的な体制へと転換する可能性だ。短期的には不安定だが、中長期的には日本企業にとって大きなビジネス機会が生まれるだろう。

■ 日本企業への示唆

いずれのシナリオになろうとも、日本企業はエネルギー調達の非政治化、多様化、分散化を進めるべきだ。エネルギー資源を特定の地域や政治状況に過度に依存すべきではない。迅速な政策変化に備え、市場動向やリスクを常時モニタリングすることが重要だ。

中東地域を西アジア、すなわち大アジアの一部として捉える視点も必要だ。中国、ペルシャ湾、米国との関係をバランスよく維持し、戦略を構築するべきだ。

【国際協力本部】

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