経団連のスタートアップ委員会(南場智子委員長、髙橋誠委員長、出雲充委員長)は5月21日、東京・大手町の経団連会館で「経団連 Startup Summit 2026」を開催した。
このイベントは「スタートアップ育成5か年計画」の後半戦にあるなか、日本のスタートアップの数と成功レベルを共に10倍にする目標「10X10X」の進捗を振り返り、取り組みを一層加速すべく開催したもの。大企業、スタートアップ、大学、行政等から約220人が参加した。
今号と次号の2回にわたり、その内容を紹介する。
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井野副大臣
冒頭あいさつで井野俊郎経済産業副大臣は「10X10Xの実現のためにはさらなる環境整備が必要。成長戦略会議のもとに立ち上げたスタートアップ政策推進分科会で、スタートアップ政策を一層強化する方向でパッケージをまとめた」と説明した。
続く一つ目のセッションでは「スタートアップ育成5か年計画とその先を見据えて」をテーマに、南場委員長、出雲委員長、さくらインターネットの田中邦裕社長、経産省の菊川人吾イノベーション・環境局長の4人が議論を交わした。それぞれの発言概要は次のとおり。
■ 南場委員長
10X10Xの目標に対し、裾野も高さも2倍に届いていない状況だ。他方、10X10Xを掲げることで、スタートアップの重要性が政府および産業界に深く浸透してきたのは大きな前進だとポジティブに捉えたい。引き続き団結して取り組む姿勢に変わりはない。
AI技術が急速に発展するという時代の変革期には、大企業よりも変化に強いスタートアップが時代を引っ張っていくと期待している。特にフィジカルAIは、日本が勝てる可能性が大きい。
スケールアップには海外からの資金供給の拡大が不可欠だ。グローバルなエコシステムとして発展させていくため、日本を拠点に活動する外国人や、海外を拠点に活動する日本人も政府支援の対象とすべきだ。
■ 出雲委員長
2025年にスタートアップが創出したGDP額は約26兆円に上る。雇用創出の観点からも重要な役割を果たすようになった。
他方、株式市場では、東証グロース市場はプライム市場より成長が緩やかであり、引き続きスタートアップの経済への貢献を発信していくことが重要だ。
ディープテック分野では、日本の大学の知的財産創出力は米国の大学に劣っておらず、研究開発成果をビジネスに橋渡しする機能の強化が重要だ。そのうえで、ディープテックのように成長に長期間を要する領域では、政府調達による需要創出が必要だ。
■ 田中氏
スタートアップ政策は相当程度拡充されている。スタートアップこそが、大企業では取ることが難しいリスクを取る姿勢を持ち、挑戦を続けることが重要だ。
上場するとリスクテイクが非上場時に比べて難しくなるが、スタートアップであり続けるためには挑戦する気概を失わないことが必要だ。
スタートアップの研究開発を支援するSBIR(Small/Startup Business Innovation Research)制度は重要な役割を果たす。
グローバル展開の際は、米中以外のオルタナティブな第三極的存在として、日本の地政学的な優位性を官民で追求していくことが必要だ。
■ 菊川氏
10X10Xという高い目標設定は、政府と産業界が共に取り組むというメッセージとして、国内だけでなく海外にも大きなインパクトがあった。
ユニコーン企業(非上場)の数は1.3倍増だが、上場しているユニコーン企業は18社から33社に増えた。名目GDPのうちスタートアップが創出した額は約4%を占めるようになり、日本経済の屋台骨を支えている。引き続き政府は支援に取り組む。
資金供給を拡大するため、海外の大手ベンチャーキャピタル(VC)の誘致に積極的に取り組んできた。
今後、SBIR制度も抜本強化し、本格調達につなげるための試験導入をはじめ新たな枠組みを創設するほか、省庁横断的にスタートアップ・フレンドリーな政府調達のスキームを整備する予定だ。
【産業技術本部】
