経団連は5月14日、東京・大手町の経団連会館で経済法規委員会競争法部会(大野顕司部会長)を開催した。公正取引委員会経済取引局の岩下生知総務課長、池澤大輔総務課デジタル市場企画調査室長から「生成AIに関する実態調査報告書ver.2.0」について、説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。
左から岩下氏、池澤氏
公取委は4月16日、「生成AIに関する実態調査報告書ver.2.0」を公表した。報告書ver.2.0は、2024年10月公表の「ディスカッションペーパー」および25年6月公表の「生成AIに関する実態調査報告書ver.1.0」を集約し、報告書ver.1.0では把握しきれなかった点も含め、現時点の生成AI関連市場の実態をあらためて整理したもの。
わが国の生成AI関連市場における公正かつ自由な競争環境の維持によりイノベーションを生み出す観点に加え、生成AIの健全な経済社会への実装という観点から、生成AI関連市場の実態を把握するための調査を行った。
生成AI関連市場の流動的な状況を踏まえ、以前より迅速かつ柔軟な方法による調査を実施した。
報告書ver.2.0では、生成AI関連市場の構造を「インフラストラクチャー」「モデル」「アプリケーション」の三つの層に分類した。各層での競争の実態を分析するとともに、各層にまたがる事項も整理している。
インフラストラクチャー層では、生成AIの学習段階で用いられる計算資源の分野で引き続き特定の事業者が優位にあるが、推論段階では競争が活発化している。合成データや企業内部のデータの活用の重要性、専門人材の流動性なども指摘した。
モデル層では、ビッグテック企業を中心に汎用モデルの競争が活発化する一方、国内事業者は特定用途に特化したモデルで差別化を図っている。高度な日本語能力が必要な場面では、国内事業者の優位性が示されている。
アプリケーション層では、事業者の参入により競争が激化している。
3層にまたがる重要事項として、開発環境等の切り替え・移行、オープンソースとクローズドソース、パートナーシップ、モバイルOS上の生成AIモデルがあり、各事項に関する競争政策上の意見が挙げられている。
生成AIを含むAI技術を活用したフィジカルAIの分野では、自動運転分野の市場の実態を整理した。
生成AIを巡る独占禁止法上や競争政策上の論点については、報告書ver1.0で整理した「アクセス制限・他社排除」や「抱き合わせ」についてさらに検討し、「モバイルOS上の専用ソフトウエアに関する制限行為」および「既存のデジタルサービスに生成AIを統合する行為」としてあらためて考え方を整理した。
この他、自社優遇や生成AIを用いた並行行為、パートナーシップを通じた高度専門人材の獲得といった論点についても情報収集したが、今回の調査では競争法上の懸念を示す意見は寄せられなかった。
生成AI関連市場は急速に変化しているため、今後も継続的に市場動向を注視していく。
【経済基盤本部】
