原田氏
経団連は4月24日、東京・大手町の経団連会館でグローバルサウス委員会政策部会(木村普部会長)を開催した。外務省国際協力局の原田貴政策課長から説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。
■ ODAの現状
わが国は、開発協力を通じて国際社会の平和と繁栄ならびに国益の双方の実現に貢献してきた。政府開発援助(ODA)は開発途上国の経済開発や福祉の向上を目的とするが、国際協力を取り巻く環境が大きく変化するなか、各国に対する援助政策は変化している。
2024年までは米国が最大のドナー国だったが、対外援助費の大幅削減を受け、現在ではドイツが最大のドナー国となっている。
日本は国民総所得(GNI)に対するODAの比率で、開発援助委員会(DAC)加盟国の中で13位だ。
無償資金協力の予算額は24、25年度と2年連続で減額となったことに加え、円安や物価高の進行により、25年度には19年度からドルベースで半減し、ODAを供与できる国や分野が限定されるなどの影響が生じている。
中国の対外援助も変化している。債権国としてのプレゼンスは引き続き高い一方で、途上国の対中債務残高は減少傾向にある。近年では、大型インフラ整備や鉱業関連事業のみならず、相手国の事情を踏まえた研修に注力するなど、主要ドナー国の支援に類似した動きもみられる。
■ 新しい国際協力の必要性
国際社会が歴史的転換期を迎えるなか、「新しい国際協力」の必要性が高まっている。
第一に、グローバルサウスの台頭だ。グローバルサウスでは、中間層の拡大や消費経済の発展により、消費市場や投資先としての重要性が急速に高まっている。これに伴い、ODAの役割も途上国への資金供与を中心とした支援から、都市化や高齢化など、日本と共通する社会課題の解決に向けた対応へ移行している。
第二に、国際協力の「脱制度化」だ。SDGsの浸透を背景に、企業はサステナビリティを企業価値向上につながる経営課題と位置付けている。国際協力には、政府の公的制度の枠組みにとらわれず企業、投資家、スタートアップなど多様な主体が参画するようになり、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資やインパクト投資も拡大している。
第三に、日本経済の構造変化だ。日本から海外へ輸出するモデルから、投資によって収益を獲得する国の海外拠点から輸出や投資を行うモデルに変化している。その結果、従来の輸出を前提とするODAは相対化され、政策的意図を企業投資に反映させる新たな手法が求められている。
■ 新しい国際協力に向けた取り組み
新しい国際協力を推進するためのキーワードは「重ねる」「つなぐ」「語る」だ。
第一に、わが国の政策との関連を意識し、ODAを外交政策や成長戦略と「重ねる」展開をしていくことが重要だ。
23年の開発協力大綱の改定では、ODAの戦略性の強化や柔軟性、効率性、迅速性の観点によるODAのさらなる改善を掲げている。
例えば、政府が取り組む自由で開かれたインド太平洋(FOIP)の具体化に向け、ODAによる海洋航路の安全確保などの政策に取り組んでいる。
第二に、ODAを触媒として社会課題解決の力を持つ多様な主体を「つなぐ」取り組みを推進している。その中心となるオファー型協力では、重点分野を特定し、さまざまな主体の参画を得ながらプロジェクトを進めている。
国際協力機構(JICA)法の改正を通じて、民間資金の動員や無償資金協力の迅速化も促進している。
第三に、こうした取り組みに加え、幅広い世代に国際協力の意義と役割を伝える「語る」も重要だ。これまで国際協力の外にいた人の理解を促進するため、広報活動にも力を入れている。
【国際協力本部】
