右からアルバック氏、リー氏、関口氏
経団連は5月8日、米国ワシントンDCの米国事務所で、アドバイザリー・ファームのDGA・オルブライト・ストーンブリッジ・グループとの懇談会を開催した。
アンカ・リー シニアアドバイザー(元米国防総省東アジア担当国防次官補代理)、エリック・アルバック パートナー、関口由香里マネージング・ディレクターから、進化する日米同盟と日本企業の方向性について説明を聴いた。概要は次のとおり。
■ 進化する日米同盟
日米両国は北京の経済的圧力に対する脆弱性を理解しており、両国はこのタイミングを逃すことなく防衛連携強化に注力すべきだ。日本は同盟にとって最も価値ある投資といえる政治的資本を支払い、防衛能力増強、日米指揮統制の高度化、法制度整備、防衛装備品の輸出等を具体的に進めている。
米国はその事実を正当に評価し、同盟に対する貢献を認識すべきだ。両国間の具体的アクションには両国政府の事務レベル対話が必要であり、日米2プラス2会合は復活することが望ましい。
■ 米国の対中視点
第1次トランプ政権時、米国は対中政策の文脈で、トランプ大統領のもとで結束し、同時に日米が連携して中国の経済政策による影響を問題視する動きが形成された。
第2次政権ではより複雑で、五つの連合((1)抑制派(2)移民問題を重視する国家利益中心主義派(3)貿易問題を重視する経済戦士(4)ビジネス界・富裕層(5)伝統的共和党エスタブリッシュメント)がトランプ大統領のもとに包含されており、一貫した対中論理を発見することは難しい。
この連合の勢力関係は絶えず変化しているが、現在の対中関係では、スコット・ベッセント財務長官やジェイミソン・グリア通商代表が具体的な協議を進めている。
■ 日本企業の方向性
こうした情勢下で日本企業はどのように機会を見つけるべきか。
第一に、激動の情勢下にあっても、米国の日米同盟に対する信頼感は際立った存在感を放ち続けている。同盟の概念は拡張期にあり、経済安全保障、技術協力、重要鉱物や産業サプライチェーン等に広がり続けている。
中国の脅威と中東の混乱はその重要性を一層強めた。エネルギー、防衛、AI、サプライチェーン強靭化等に関する投資は両国の共通の利益と価値観に基づくものであり、その重要性が色あせることはない。
第二に、ワシントンDCの激しい議論とは別に、米国は地方レベルでは大きく変わっていない。日本との絆は地域社会の隅々まで根付いており、今なお確かなビジネスチャンスが息づいている。
第三に、日本をはじめとする同盟国は、同盟関係を支える根幹にある価値観を原動力として、米国の関与が相対的に弱まる局面でも主体的に行動し、自らの役割を果たし続けている。
第四に、今後のビジネスチャンスは防衛産業基盤のレジリエンス構築にある。いま米国の防衛テック企業は日本企業との提携や日本市場に強い関心を持ち、パートナーを探している。
企業にとっては、ワシントンDCの政策動向に加えて、州・地方政府や実務レベルの動きを読み解くローカルな視点と、同盟国・地域間の連携を俯瞰するグローバルの視点の双方が重要だ。
【米国事務所】
