ウングボ氏(中央)
経団連は5月20日、東京・大手町の経団連会館で、国際労働機関(ILO)のジルベール・F・ウングボ事務局長と懇談した。経団連からは芳井敬一労働法規委員長、安藤嘉規同国際労働部会長らが出席した。
冒頭で芳井委員長は、少子高齢化による労働力人口の減少や物価上昇など、日本が直面している複合的な課題に対応するため、「賃金引き上げ」「労働移動の推進」「柔軟で自律的な働き方の実現」に注力していると説明した。
長年のデフレから完全に脱却し、「成長と分配の好循環」を実現するためには、持続的な賃金引き上げと生産性向上が不可欠だとし、生産性向上に向けた柔軟で自律的な働き方を実現するため、労働政策審議会で労働時間法制の見直しに向けた真摯な議論を重ねていることも紹介した。
ILO総会(6月1~12日開催)での議論のテーマとなるウングボ氏の報告が、AIと雇用の関係を取り上げたことについては、「時宜を得たものだ」と指摘。「報告の内容は非常に示唆に富み、経団連は多くのことを学んだ」と述べた。
AIを巡っては差別や不平等、プライバシー侵害等への懸念がある一方、過度な規制は各国間や企業間の格差を拡大させかねないとの懸念を伝えた。
重要なことは新しい規制をつくることではなく、企業によるベストプラクティスの共有や現場レベルでの技術支援だとし、ILOに実践的な支援の継続を求めた。
ウングボ氏は、経団連がILO理事会で使用者側正理事として重要な役割を果たしているとして謝意を述べた。
日本企業による継続的な賃金引き上げや、ILO第155号条約(職業上の安全および健康条約)批准への貢献などを高く評価した。
AIは規制の議論を呼ぶテーマだとしつつも、AI時代には従業員のスキルアップやリスキリングによる生産性向上への取り組みが重要になると強調。とりわけ中小企業では競争力強化や差別化に直結するため、スキルアップやリスキリングへの支援が不可欠との考えを示した。
懇談では、中東情勢による日本経済やサプライチェーンへの影響等についても意見交換した。
【労働法制本部】
