宇野首相補佐官
経団連は5月25日、東京・大手町の経団連会館でグローバルサウス委員会(安永竜夫委員長、森田隆之委員長)を開催した。宇野善昌内閣総理大臣補佐官から説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。
■ インフラシステム海外展開の取り組み状況
政府は2024年12月、30年にインフラシステムの受注額を45兆円とする目標を掲げた「インフラシステム海外展開戦略2030」を決定した。
官民が緊密に連携し、(1)相手国との共創を通じた日本の「稼ぐ力」の向上と国際競争力強化(2)経済安全保障等の新たな社会的要請への迅速な対応と国益確保(3)グリーントランスフォーメーション(GX)・デジタルトランスフォーメーション(DX)等の社会変革をチャンスとして取り込む機動的対応――を推進することとしている。
戦略の策定から約1年半が経過し、25年の受注額は36兆円に達した見込みだ。政府支援の取り組み目標(行動KPI)については、首相や閣僚等によるトップセールスが784件、デジタル技術活用案件等への支援件数が189件となるなど目標を大きく上回った。
インフラシステムの海外展開に向けた資金供給については、民間資金も含めた国際協力機構(JICA)、国際協力銀行(JBIC)、日本貿易保険(NEXI)等の関係機関による拠出総額が、369億ドル(約5.6兆円)を計上した。
政府による支援が複数年にわたるものについては、ユーティリティ、モビリティ・交通、デジタルなど五つの分野ごとに案件を把握し、関係省庁が連携して支援を提供し、進捗状況を共有している。
引き続き官民が一体となり、世界のインフラ需要を取り込んだ積極的な案件形成に努めていきたい。
■ 直近の国際情勢に対する政府の対応
26年5月、高市早苗内閣総理大臣は、ベトナムでの外交政策スピーチにおいて「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)の進化」を発表した。
国際情勢が厳しさを増すなか、日本を含むインド太平洋の各国が経済、社会、安全保障全ての面で自律性、強靭性を身に付けることが不可欠だ。日本はそのための自らの取り組みを進めるとともに、同盟国や同志国と連携し、域内の各国が必要とする協力を行うこととしている。
重点分野を(1)エネルギー・重要物資のサプライチェーン強靭化を含むAI・データ時代の経済エコシステムの構築(2)官民一体での経済成長機会の共創とルールの共有(3)地域の平和と安定のための安全保障分野での連携拡充――とし、具体的な取り組みを進めていく。
中東情勢を踏まえた対応に関して、政府は、アジアの燃料供給不足やサプライチェーンの停滞が日本の経済社会に与える影響を踏まえ、政府は(1)物資調達やサプライチェーン維持の緊急対応(2)アジア域内の原油備蓄の日数拡大等のための制度構築(3)金融面での協力の実施――を内容とする「アジア・エネルギー・資源供給力強靱化パートナーシップ(POWERR Asia)」を発表した。
5月の日ベトナム首脳会談では、第1号案件としてニソン製油所の原油調達の金融支援を行う方向で一致した。
国内の石油やナフサについては、調達先の多角化等により年を越えて供給を確保できるめどがついているが、引き続き供給の偏りの解消や流通の円滑化に向けた対策を強化している。
環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)は、環太平洋パートナーシップ(TPP)協定を基礎とし、米国の離脱以降、日本がリーダーシップを発揮して合意に至った、ルールに基づく自由貿易の複数国間の枠組みだ。
現在では締結国が12カ国となり、GDPでは世界の約15%を占める。
CPTPPは、幅広い分野をカバーした高水準の新たな共通ルールとして維持し、世界に広めていく意義がある。CPTPPのさらなる発展とわが国経済への一層の貢献を目指し、わが国は引き続き主導的な役割を果たしていく。
【国際協力本部】
