浦田氏
経団連は5月26日、東京・大手町の経団連会館で、宇宙開発利用推進委員会宇宙利用部会(山品正勝部会長〈当時〉)を開催した。
地域を起点とした宇宙産業の活性化と利活用促進に向けて、経済産業省の浦田秀行北海道経済産業局長、高濱航製造産業局宇宙産業課長を招き、北海道での宇宙産業振興の取り組み等について説明を聴いた。浦田局長の説明の概要は次のとおり。
■ 北海道の宇宙産業を支えるエコシステムの構築と活性化の課題
北海道での宇宙開発の歴史をひもとくと、1984年に北海道東北開発公庫(現 日本政策投資銀行)の北海道航空宇宙産業基地構想が打ち出されて以来、大樹町を中心に、射場等のインフラ整備が進められた。
その後、大学や民間企業などがそれらのインフラを活用して研究開発を進めた。特にロケット射場である「北海道スペースポート」は、東と南に海が開けた地理的優位性と広大な土地を生かし、民間企業にも開かれたアジアで唯一の商業宇宙港として整備が進められている。
道内の宇宙開発では、北海道大学や室蘭工業大学等だけではなく、地域企業が大学発スタートアップや新規参入事業者等を支援しているのが特徴だ。
産業集積という点では、室蘭の鉄鋼・金属加工、苫小牧の自動車部品、札幌のITといった企業群がある。これに国や自治体の後押しもあり、研究開発から実証、事業化までを地域内で支援するエコシステムが形成されている。
他方、活性化に当たり多様なロケットの高頻度打ち上げに対応できる射場の整備、道内のものづくりの基盤強化、理工系人材の道内での就職拡大、新規参入とスタートアップ企業のさらなる創出、衛星データの利用ニーズの拡大等が解決しなければならない課題だ。
■ 道内宇宙産業の動向
こうしたなか、道内では、徐々にではあるが、宇宙戦略基金等を活用し、ロケット開発から部品製造、衛星データの利活用まで宇宙産業の裾野が広がっている。
具体的にはインターステラテクノロジズによる国内初となる民間単独での宇宙空間到達の実現、超精密加工を得意とする非宇宙企業であるキメラの参入、Letara(レタラ)、MJOLNIR SPACEWORKS(ミヨルニア・スペースワークス)、岩谷技研等の大学発スタートアップ企業の創出、エア・ウォーター、大熊ダイヤモンドデバイス等の打ち上げや宇宙空間での活動を支える企業の参画等、層の厚みが増している。
衛星データの利活用の観点では、農作業の効率化に取り組むエゾウィンやズコーシャ、札幌市の水道、岩見沢市の除雪等、自治体自らが業務に組み込むことで地域課題の解決への貢献も始まっている。
引き続き北海道が持つ広大な実証環境や食・自然・気候等、国内外から人を引きつける魅力も生かしつつ、国としてもさらなる振興を図っていく。
■ 道内の地域未来戦略
高市早苗内閣総理大臣の指示のもと、道内では、宇宙に加え、半導体・AI、グリーントランスフォーメーション(GX)・洋上風力、食・観光の4分野で産業クラスターの形成を目指し、インフラ整備と人材確保・育成、規制緩和等と一体となった投資促進策を進めている。
クラスター同士の相乗効果により、大規模投資を呼び込むことで、道内の特定地域にとどまらない形で均衡ある発展を目指していく。
こうした取り組みを通じて、これまで食料安全保障の要であった北海道を、エネルギー安全保障や経済安全保障の面でもわが国の経済社会を支え、先導する地域へと成長させていきたい。
【産業技術本部】
