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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2026年7月2日 No.3735 ロボット(AI+)の社会実装に向けて -多用途ロボットの実現へ/産業競争力強化委員会企画部会

石曽根氏

経団連が3月にまとめた「わが国ロボット(AI+)戦略のあり方に関する提言」では、わが国の競争力の源泉である「現場知」のデータ化と、「産業データスペース」の構築・運用を提唱した(3月19日号既報)。

政府も同月に「AIロボティクス戦略」を策定し、ロボット(AI+)の社会実装に向けた具体的施策の検討を進めている。

こうした取り組みを加速するうえでは、実装現場でデータの蓄積・利活用を担う企業の参画が不可欠だ。

そこで経団連は5月27日、東京・大手町の経団連会館で産業競争力強化委員会企画部会(地下誠二部会長)を開催した。

経済産業省製造産業局産業機械課の石曽根智昭ロボット政策室長から、ロボット(AI+)の現場実装に係る具体的なショーケースや試験環境の整備を含む政府の支援策等について説明を聴き、意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ 人手不足への対応

わが国では人口減少を背景に、多くの産業で人手不足が深刻化している。製造業のみならず、幅広い分野で担い手不足が顕在化しており、その影響はサプライチェーン全体の維持にも及び始めている。

特に中小企業やサプライチェーンの下層を支える企業では、人材不足による事業継続への懸念が高まっており、わが国のものづくり基盤そのものを揺るがしかねない状況だ。

こうした課題への対応策として期待されているのが、ロボット(AI+)の活用だ。AIの活用によってティーチング(事前教示)の負担が大幅に軽減されれば、より多くの現場でロボットの導入が可能となり、生産性向上と労働環境改善の両立が期待される。

■ 目指す世界

従来のロボットは、あらかじめプログラミングされた作業を高精度に繰り返すことを得意としてきた。一方、環境変化や多品種少量生産に対応するためには膨大なティーチングが必要で、導入や運用の負担が大きな課題だった。

近年はVLA(Vision-Language-Action)モデルや模倣学習、強化学習(実際の動作経験を通じて行動を改善する学習手法)などの技術進展により、ロボット自身が学習しながら動作を最適化することが可能になりつつある。

こうした技術を活用することで、事前プログラミングの負担を大幅に軽減し、多様な環境や作業に対応できる多用途ロボットの実現が期待される。

ロボットとAIの融合は、将来的な省力化工場やデジタルツイン、デジタルトランスフォーメーション(DX)の高度化を支える基盤技術としても重要性を増している。これらの連携が進めば、将来的に完全無人化工場の実現も視野に入る。

■ フィジカルAI

ロボット(AI+)の社会実装には、AIの学習に必要な現場データの活用が不可欠だ。

フィジカルAIの開発では、ロボットの基本動作を学習するマルチモーダル基盤モデル、業界ごとの技能を学習する領域特化モデル、企業ごとのノウハウを反映する個社特化モデルという三層構造が想定されている。

現在、ファナック、安川電機、川崎重工業などの産業用ロボットメーカーは、このうち領域特化モデルの構築に向けたデータ収集を進めている。まずは基礎的な動作から学習を始めているが、今後はより実際の製造現場に近い環境で、多様な作業に関するデータを蓄積していくことが求められる。

そのためには、実際の製造現場を持つ企業に参画してもらう必要がある。政府は、GENIAC(Generative AI Accelerator Challenge)事業などを通じてデータ基盤やモデル開発を支援するとともに、企業が実証に参加しやすい環境整備を進めている。

今後は日本の産業用ロボット分野の高い競争力を土台として、企業、ロボットメーカー、政府が連携しながらデータ収集や実証を進めていく方針だ。

こうした官民連携によるデータ基盤の整備を通じて、ロボット(AI+)の社会実装に向けた取り組みを着実に積み上げていくことが求められる。

【産業政策本部】

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