経団連は5月20日、都内で労働法規委員会国際労働部会(安藤嘉規部会長)を開催した。
マネジメントAIサービスを提供する企業mentoの木村憲仁代表取締役CEOならびに杉浦太樹執行役員CAIOから「AI時代のマネジメントと人間の役割」について説明を聴くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。
■ 木村氏
近年、米国を中心に「Great Flattening(大フラット化)」という動きが起きている。中間管理職を削減し、組織階層を簡素化する動きであり、テクノロジー系企業のみならず、幅広い業種で進展している。
その背景には、(1)市場環境の変化に対応するための意思決定の迅速化(2)デジタル化により情報へのアクセスが誰でも容易になったこと(3)管理コストの見直し――の3点がある。AIはこの流れをさらに加速させる。
一方、日本企業では管理職のプレイングマネジャー化や管理職志向の低下が課題となっている。海外企業の手法をそのまま導入するのではなく、いかに日本企業の実態に即してAIを実装していくのかが今後の課題だ。
マネジメント業務はAI、とりわけ言語情報を扱う生成AIと相性が良い。海外では、コーチングや1on1(ワンオンワン)を掛け合わせた「マネジメント特化型AI」が次々と開発されている。
このようなマネジメント特化型AIは、(1)メンバーの発言や行動データを基に状況を「観察」(2)その背景や課題を「解釈」(3)管理職に必要な視点を「問いかけ」(4)1on1の論点整理やフィードバック案の作成などを通じて対応を促す「行動促進」――の四つの役割を担う。
AIが管理職に伴走することで、より質の高いマネジメントの実現を支援している。
AI時代の管理職は、情報収集や状況把握といったAIが得意とする認知的領域はAIに任せ、意思決定や組織文化の形成、ビジョン提示、深い対話などに注力することが求められるようになる。
評価やフィードバックは、慎重な判断が求められる領域だ。情報収集や公平性のチェックなどはAIに任せればよいが、最終判断や責任は人間が担うべきだ。
AIは管理職を代替する存在ではない。「管理職の伴走者」として活用することが重要だ。
■ 杉浦氏
マネジメント領域でのAI活用の留意点について説明する。
汎用AIを単純に導入するだけではマネジメントの課題は解決できない。理由は次の3点だ。
- 汎用AIは受動的であるため「気付いて、踏み込んで、伝える」設計が必要
- 個別性や複雑性、流動性の高い現場では、現場に合わせたコンテキストが必要
- 個人利用を前提とした汎用AIでは組織を動かすことに限界があり、「曖昧な役割間の調整」「感情的ケア」といったプロセスの作り込みも必要
このようなマネジメント特化型AIを活用し、マネジメントの生産性向上と従業員一人ひとりの成長支援を両立していくことが重要だ。
【労働法制本部】
