経団連は6月16日、東京・大手町の経団連会館で幹事会を開催した。
藤田総務省総括審議官
総務省の藤田清太郎大臣官房総括審議官が「デジタル空間における情報流通の健全性保全に向けた取り組みについて」と題して講演した。概要は次のとおり。
昨今、生成AIの普及等を背景として、インターネット上に偽・誤情報が広がっており、その真偽を判別することが難しくなっている。
「偽ホームページ」をはじめとする被害が企業にも出ている状況を踏まえ総務省は、さまざまな関係者との連携・協力のもと、(1)制度的対応(2)リテラシー向上(3)技術開発――の3本柱で総合的な対策を推進している。
制度的対応としては、情報流通プラットフォーム対処法のもと、「被害者救済」と発信者の「表現の自由」のバランスに配慮しつつ、削除対応の迅速化等、プラットフォーム事業者がインターネット上の権利侵害等に適切に対処できるようにしている。より使いやすい制度にすべく、検討を深めている。
リテラシー向上としては、官民連携の意識啓発プロジェクト「デジタルポジティブアクション」を実施している。引き続き社会的機運の醸成を図る。
技術開発としては、情報発信者の信頼性等を確保する技術「オリジネーター・プロファイル」(OP)等が重要だ。こうした技術の開発・実証を支援している。
村井慶大特任教授
慶應義塾大学の村井純特別特区特任教授(オリジネーター・プロファイル技術研究組合理事長)が「デジタル空間における真正性証明技術~『信頼できる情報社会』の基盤として」と題して講演した。概要は次のとおり。
福沢諭吉の著作『西洋事情』(1866年)の口絵には、「蒸汽は人を済(たす)け、電気は信(たより)を伝える」と書かれている。これは近代文明を象徴する言葉であり、後半はインターネットそのものだ。明治期からこうした意識を持つ日本こそが、インターネットの分野で世界をリードしなければならない。
インターネット上の情報は、発信者と受信者の間の信頼で成立している。こうした信頼の確保に向けた有効な方法の一つがOPと呼ばれる仕組みだ。
OPはデジタル空間において、社会のなかで認識され、信頼されている第三者としての業界団体等が、発信者にいわゆる「太鼓判」を押すことで、発信者の信頼性を可視化し、受信者の健全な判断を支える仕組みだ。
発信者のコンテンツが改変・切り取りされていないことを確認する機能も備えており、偽・誤情報が入り込みにくいエコシステムの形成にもつながる。AI等のテクノロジーの悪用者・乱用者が増えているなかで、OPは今後、デジタル空間の基盤になり得る。
現在、OPの研究開発や実証を進めている。今後の取り組みを推進するうえでは、前述のとおり太鼓判を押す組織の参加がカギだ。安心できるデジタル空間の実現に向け、経済界からの参加を期待したい。
【総務本部】
