貴田氏
森田氏
経団連は6月8日、東京・大手町の経団連会館で「合成生物学・バイオ分野官民投資ロードマップとバイオセキュリティに関する説明会」を開催した。
経済産業省商務・サービスグループ生物化学産業課の貴田うらら課長補佐から合成生物学・バイオ分野の官民投資ロードマップに係る議論動向について、内閣府科学技術・イノベーション推進事務局の森田健太郎企画官からバイオセキュリティに関して、それぞれ説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。
■ 経産省
合成生物学・バイオは、従来の化学工業プロセスを、生物の力を活用するバイオプロセスに転換することで産業構造を革新するテクノロジーであり、日本成長戦略における戦略17分野の一つに選定されている。
米国は2022年に大統領令を発令し、1000億ドル以上の戦略的投資を決定した。25年にはバイオセキュア法を成立させ、経済安全保障の確保を図っている。
中国、欧州、英国でも戦略や投資計画が次々と策定され、世界的に産業政策競争が激化している。
こうしたなかで経産省は、40年に向けた官民投資ロードマップ(注)に係る議論を進めている。
バイオものづくり分野では、40年の日本企業の売り上げ目標を11.9兆円と設定した。
わが国の強みは、発酵産業の蓄積やエンジニアリング・機器分野における「ウェット(実験・製造)」領域の知見や技術にある。これをAIやデータといった「ドライ(設計・解析)」領域と融合させ、バイオ製造技術を効率化することが競争力のカギとなる。
バイオ医薬品・再生医療等製品などの分野では、40年の売り上げ目標を23兆円に設定した。世界の医薬品市場は22年に約200兆円規模であり、今後も高い成長率が見込まれるなか、バイオ関連がその4割を占めている。
わが国は製造工程の他国依存度が高いが、製造工程を国内製造へ切り替え、感染症危機や海外情勢に左右されない安定供給体制を構築することが必要だ。
世界に先駆けて承認を獲得したiPS細胞由来製品のみならず、わが国が優れた技術基盤を持つ分野でも開発・製造受託の実績を積み上げることで国際競争力を強化していく。
■ 内閣府
バイオテクノロジーの進展に伴い、事故による偶発的な放出を防ぐ「バイオセーフティ」と、意図的な悪用を防ぐ「バイオセキュリティ」の確保が不可欠となっている。
米国では25年にバイオセキュア法が成立し、懸念のある企業からの公共調達が禁止された。米国、英国、EUでは病原体や毒素関連の危険な配列の不正取得を防止する「核酸合成スクリーニング」のガイドラインや法案が公表されるなど、制度的な枠組みの構築も進んでいる。
わが国にはカルタヘナ法や感染症法等の既存法令はあるが、AI等の進化も踏まえたリスクに十分対応できない恐れがある。対応の遅れは生物兵器開発の抑止や日本の経済成長の支障となり得る。内閣府では関係省庁や民間企業とも意見交換を進め、迅速に対応を検討していく。
(注)本説明会では第3回日本成長戦略会議(3月10日)で公開されたものを使用
【産業技術本部】
