経団連は6月30日、東京・大手町の経団連会館で、外国為替及び外国貿易法(外為法)の対内直接投資審査制度に関する懇談会を開催した。財務省の西方建一副財務官から、制度の動向について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。
外為法の対内直接投資審査制度は、外国投資家が指定業種(注1)に属する日本企業へ出資する際に事前に届出を求め、リスクがある場合には中止等の勧告や命令を行うことができる制度だ。
2026年5月に成立した改正外為法は、健全な対内直接投資を一層促進しつつ、国の安全等を損なう恐れのある投資に適切に対応するため、制度の高度化を図るものだ。7月3日には、改正に伴う政省令についてパブリックコメントの募集を開始した。改正法の公布後1年以内に施行される予定だ。
主な改正項目の一つが、リスク軽減措置の明確化だ。リスク軽減措置とは、外国投資家が投資に係るリスクをなくすために講ずるべき措置であり、今般の改正で、法律上の届出事項に追加し、手続きを明確化した。
リスク軽減措置の修正を認め、届出の再提出による審査の長期化を防ぐとともに、リスク軽減措置が履行されない場合には必要な対応を命じることができるとした。
間接的な投資に係る規定も整備した。従来は日本企業の株などを直接保有する場合のみが届出の対象だったが、指定業種を営む日本企業の株などを直接保有する法人を外国投資家が買収する際などでも、一定の場合には事前届出を求める(図表参照)。
外国法人等が議決権の50%以上を保有している日本企業のみならず、外国政府等の影響下にある日本企業や国内居住者も「みなし外国投資家」として事前届出を義務付けた。
非指定業種については、投資後に安全保障環境の変化等によりリスクが発生した場合、投資実行後5年以内であれば報告を求め、必要な場合は勧告・命令できる措置を新設した。ただし投資家の予見可能性と投資財産の法的安定性を確保するため、類型的に特にリスクの高い外国投資家による株式・議決権の10%以上の取得等に限定する。
この他、いわゆる「日本版CFIUS」として、対日外国投資委員会(JFIC)が6月29日に発足した。財務省と国家安全保障局が共同議長となり、外務省、経済産業省、防衛省を主構成員とする。
投資審査では、(1)投資先の企業の業種や保有技術(2)外国投資家の属性(国家との関係等)(3)外国投資家の投資の形態――の3要素を総合的に評価する。透明性向上の観点から、今後は中止等の命令を公表する。
他方で事前届出対象のリスクに応じた合理化も図る。例えば事前届出を経て就任した役員等の重任は原則、事前届出を不要とする。日本企業の100%海外子会社による投資が企業のグループ内再編にとどまる場合も事前届出を不要とする。報告様式の見直しにより、審査の効率化を図る。
各社には、指定業種に係る該当性リストの調査(注2)への協力をお願いしたい。リストは、外国投資家が事前届出の要否を判断する際の便宜のため、財務省のウェブサイトで公表している。今後、リストの更新に向けてアンケートを実施する。
(注1)国の安全や公の秩序、公衆の安全に影響を及ぼす恐れがある対内直接投資等に係る業種。武器・航空機・原子力・宇宙関連、軍事転用可能な汎用品の製造業等が含まれる
(注2)各社が(1)非指定業種(2)コア業種以外の指定業種(3)コア業種(4)特定コア事業者――のいずれに該当するかを財務省に申告する
【国際経済本部】
